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 学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画を巡り、10日に行われた国会の閉会中審査で、与党側からは参考人招致された文部科学省の前川喜平前事務次官に対する攻撃的な質問が相次いだ。前川氏は時折強い言葉を選びながらも冷静な受け答えを繰り返した。発言内容の信ぴょう性を低下させようとする与党側の「印象操作」を退けた格好だ。【遠藤拓、大場弘行】

 午後の審査で、青山繁晴参院議員(自民)は天下り問題を引き合いに出して前川氏を批判した。

 これに対し、前川氏は文科省OBで内閣官房参与だった加計学園理事から獣医学部新設に向けた速やかな対応を求められたものの応じなかったと説明。「OBから現役への働きかけこそが天下りの弊害だ。私は政策判断には影響させなかった。そんたくとか、審査を甘くするとか、そうしたことはすべきでない。天下り問題と、獣医学部の問題を結びつけるのは誤りだ」と切り返した。

 民進党の蓮舫代表は、菅義偉官房長官が5月下旬の記者会見で、前川氏が「地位に恋々としがみついていた」と指摘したことを取り上げた。菅氏が「せめて定年期限の3月末まで続けさせてほしい」との前川氏の意向を報告されたとした上で「当然、自らお辞めになるべきだろうと言った」と説明すると、前川氏は「どこで間違っているか分からないが、その経緯は全く事実に反する」と語気を強めて反論した。

 衆参両院で計約7時間の長丁場となったこの日の審議。前川氏は自身の発言を安倍政権追及につなげたい野党側の思惑には必ずしも乗らず、たびたび「私からは説明できない」などと述べた。淡々とした口調が目立ち、答弁に慣れた官僚らしさも垣間見えた。

 出会い系バーへの出入りを「女性の貧困の実地調査」と説明したことを丸山穂高衆院議員(日本維新の会)から指摘されると、「言葉遣いは適切でなかったかもしれない」と答えた上で「(官邸の動向と)読売新聞の記事は連動していると主観的に感じ取った」と主張した。文科省の内部文書について「流出元では」と平井卓也衆院議員(自民)からただされると「答えを差し控える」とかわした。

 閉会中審査を終えると、前川氏は「こういった形で、政府部内で何が起こったのか調べようという動きは歓迎すべきことだ」と述べ、国会を後にした。