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[東京 13日 ロイター] - 日本公認会計士協会の関根愛子会長は13日の会見で、PwCあらた監査法人への調査を開始したと表明した。同法人は、東芝(6502.T)の2016年10─12月期の四半期報告書で監査意見を不表明とした。協会がこの経緯などを調査する。関根会長は、同法人が監査意見の不表明に至ったことについて「深く憂慮している」と述べた。

調査では、東芝を担当する監査チームが、東芝の米子会社を担当する監査チームの状況を十分に把握し適切に指揮していたのかが焦点の1つになる。

関根会長は、PwCあらたへの処分の可能性について「(処分するかどうか)どちらの方向というのは一切ない」と述べるにとどめた。そのうえで、東芝とPwCあらたが協力して、適正意見つきの有価証券報告書を提出するよう求めた。

一方、16年3月期まで東芝の監査を担当していた新日本監査法人に対して、会計士協会は2カ月間の会員権停止処分を出した。処分は13日付。処分により、同法人は協会長への提言ができないなど会員としての活動に制約を受けることになるが、監査業務などは通常通り行なうことができる。

関根会長は「強制加入である会計士協会の監査法人が処分を受けているのは、物理的な意味はなくとも、私自身は重い処分と考えている」と述べた。

会計士協会は、東芝の不正会計問題への市場の関心の高さや社会的影響力の大きさなども加味して法人への処分に踏み切り、公表した。

鈴木昌治副会長は、東芝の監査を担当した会計士についても「調査・審議を行い、会則に則って適切に対応した」と話したが、具体的な処分内容や対象者は明らかにしなかった。

東芝の不正会計を見抜けなかったとして、新日本監査法人は15年12月に金融庁から行政処分を受けた。会計士協会も人員を増強して10年3月期から14年3月期を対象に調査を進めてきたが、懲戒処分の決定は行政処分の1年7カ月後になった。

会計士協会による処分は、過去の監査の調査に当たる監査業務審査会、処分の要否を決める規律調査会、処分の具体的な中身を検討する綱紀審査会の3段階を経て決まる。関根会長は、一連の懲戒プロセスについて効果などを検証する必要があると述べた。

(和田崇彦)

2017年 7月 13日 4:51 PM JST