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海上保安官が武器を使用して相手に
危害を加えた場合に違法性が阻却される
基準(危害射撃が可能な基準)は、
海上保安庁法第20条に
警察官職務執行法第7条を準用すると従来から
定められており、
これによると、正当防衛、緊急避難、
懲役3年以上に該当する
凶悪犯罪を既に犯したか、犯した疑いのある
犯罪者の検挙時に犯人が逃走・抵抗を図り、
これを防ぐために他に採る手段がない場合
のみに危害射撃が免責される。

また、1999年に発生した能登半島沖不審船事件
を受けて改正された
海上保安庁法第20条により、外国の民間船舶の
領海内における航行が、
凶悪犯罪を犯すのに必要な準備のため
行われているのではないかとの疑いを
払拭することができないと
海上保安庁長官が認定した場合にも危害射撃を
行えるようになっていた。

しかし2001年12月の、奄美大島沖での
不審船が未だ凶悪犯罪を起こしていなかった
ため、
警職法に定められた危害射撃時の免責の要件を
満たせず、
また日本の領海外のEEZ内であったため、
改正第20条の免責の要件も満たせず、
本庁は難しい判断を迫られた。

最終的に日本政府、国土交通省、海上保安庁

「照準性能が高いRFS付き機関砲であれば、
乗員に危害を加えずに、船体射撃が可能
」という判断を基に船体射撃を行うことを決定した。

そして、16時13分から「いなさ」が、
不審船の船尾にあると推定される機関を
破壊するために、警告放送の後に20mm機関砲
による射撃を行った。しかし効果はなく、
なおも不審船は逃走を続けた。
主機関は船尾ではなく前部の船倉にあることが
判明した
(船尾に上陸用舟艇を隠すために船首部分に
機関を設置していた)ことから、16時58分、
「撃つぞ。船首を撃つから船首から離れろ」
との警告の後、「みずき」搭載の20mm機関砲
により、船首への射撃を行った。
この際、発射された曳光弾が船首の甲板上の
ドラム缶に備蓄されていた予備燃料に命中、
引火し火災が発生した。
これにより、17時24分、不審船はやっと
停船した。