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東京電力「5G」実用化に向け基地局整備支援へ
7月15日 18時05分
通信速度が格段に速くなる次世代の携帯電話の通信方式、「5G」の実用化に向けて、「東京電力」は、携帯電話会社にとって膨大な手間やコストのかかる基地局の整備を支援する事業に乗り出す方針を固めました。
「5G」は、通信速度が格段に速くなる次世代の通信方式で、携帯電話各社は、2020年の実用化に向けて実証実験を進めていますが、基地局を設置できる場所を確保して、実際に整備を進めるには膨大な手間とコストがかかります。

こうした中、関係者によりますと、「東京電力」は、「5G」の基地局を設置する場所として、電力を送る鉄塔を貸し出す事業に本格的に乗り出す方針を固めました。

さらに、電波対策の設備の開発や設置を手がけるベンチャー企業の「JTOWER」と提携して、鉄塔やビルの屋上など、基地局を設置できる場所を紹介する専用サイトを今月18日に開設します。
携帯電話各社にとっては、基地局を設置できる場所の調査や、地権者やビルの所有者との交渉の手間を省くことができ、投資コストの削減につながるということです。

東京電力としては、関東一円にある鉄塔などの資源を生かして、新たな収益源に育てる狙いがあります。
高速大容量の「5G」は、自動運転や遠隔医療などさまざまな分野に使われる「社会インフラ」としての活用も期待されていて、システムや端末などの開発が加速しています。
「5G」の特徴と実用化への課題
「5G」は、現在の第4世代のスマートフォンの通信方式、「LTE」に代わる第5世代の通信システムで、携帯電話各社は、2020年の実用化に向けて実証実験を進めています。
「5G」には、大きく3つの特徴があり、通信サービスの在り方が劇的に変わると見られています。

1つ目の特徴は、現在の第4世代とは格段に違う「高速・大容量」です。
総務省によりますと、「5G」は、現在、主流の通信方式の「LTE」に比べて、速度が10倍速くなるため、動画をスムーズに見ることができます。

現在は、満員電車や競技場など多くの人が集まる場所で、一斉に動画を見ようとすると通信速度が遅くなりますが、5Gでは、「4K」や「8K」といった超高画質の動画であっても、快適に見られるようになるということです。
さらに、スポーツの中継で異なる角度で撮影した複数の映像を同時に配信するなどの新しいサービスも可能になります。

2つ目の特徴は、「多数同時接続」です。
あらゆるモノをインターネットでつなぐ「IoT」の分野での活用が期待され、例えば、世界各地の工場にある生産設備を同時に接続しても、安定的に通信ができます。

3つ目の特徴は、「遅延の少なさ」です。
自動運転や遠隔医療などの分野にデータ通信を活用する場合、伝送が滞れば、人命にかかわるおそれもあります。
自動運転車では、車や道路などに設置したセンサーのデータをやり取りするため、急ブレーキをかけようとした場合にデータの伝送が遅れれば、重大な事故につながりかねません。

「5G」は、こうしたリスクが少なくなるため、社会インフラとして、さまざまな場面への活用が期待されています。
ただ、実用化に向けては、携帯電話各社にとって、膨大な手間と巨額のコストがかかる基地局などの通信設備の整備をいかに進めていくかが課題となっています。