石破 少子化の背景には社宅や官舎の減少もあると私は考えています。
家賃が安い社宅や官舎は、まだ収入が多くない若い夫婦にとっては可処分所得を増やす機能があった。
だからかつては若いうちに子供をもうける余裕がありました。ところが今は、企業や役所が社宅や官舎を削減しています。

石破 私が地方創生担当大臣の時には、「コンパクトシティ」と「小さな拠点」(コンパクトビレッジ)を
それぞれの自治体で考えてくださいとお願いをしましたが、やはりここから始めるべきじゃないでしょうかね。

高度成長期、都市部への人口集中に対応するため、山を切り開き農地を転用してニュータウンをたくさんつくりました。
いまそれがゴーストタウンに変わりつつあって、維持するのは極めて難しいと思います。
人が減っても道路や下水道は必要。採算の合わない公共インフラに投資を続けるのは困難です。
ならば、コンパクトシティを目指さなくてはならない。

ニーズの乏しい住宅地は、いっそのこと「山林原野に戻す」という選択もあると思います。
財政が破綻するだけだから、無理して大きな規模を維持しても仕方がない。

もう一つのコンパクトビレッジのほうは、中山間地の集落に対応するため、複数の集落に必要な診療所や保育所、
商店やガソリンスタンドを集約しようというものです。憲法で保障された居住・移転の自由を制限することなく、
中山間地の集落の維持を効率化しようという発想です。