http://www.jiji.com/sp/article?k=2017071800926&;g=soc

 京都大学霊長類研究所の竹元博幸研究員は、チンパンジーと、同属のボノボの生活様式を調べた結果、乾期のある森で過ごすチンパンジーは、地上で過ごす時間が増えることを突き止めた。竹元氏は、気温の変化が主な要因とし、「人類が二足歩行を始めたきっかけの解明に役立つのではないか」と話している。論文は18日、英学術誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。

 竹元氏は2005年12月〜08年10月、西アフリカの乾期が年4カ月ある「ボッソウ」という森に住むチンパンジー4頭と、中央アフリカの「ワンバ」と呼ばれる気温差の少ない森に住むボノボ6頭を観察した。

 乾期に気温が上昇するボッソウでは、日光が当たる樹上は、森林の下層より気温が約5度高い。このため、ボッソウのチンパンジーは乾期になると、下層で休むことが多くなり、地上を利用する時間の割合も、雨期の13.5%から、乾期には50.1%に上昇した。

 一方、ワンバのボノボは気温差が約1度しかないため、ほとんど変化がなかった。
 東アフリカのエチオピアでは、ボッソウと環境が似た乾期のある森だった場所から、樹上から地上への移行段階にあるとされる猿人「アルディピテクス・ラミダス」の骨が発見されている。

2017年07月18日18時12分

雨期の西アフリカの森林「ボッソウ」で、樹上で休むチンパンジー(京都大霊長類研究所提供)
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乾期の西アフリカの森林「ボッソウ」で、地上で休むチンパンジー=2011年1月(京都大霊長類研究所提供)
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