※続きです

■漁放棄は「押しつけがましい」

進まぬ議論に留学生らからは提案も出された。

外国人男性は、太地の漁師が捕鯨を奪われると職を失うというのであれば、「ホエールウオッチングなどに転換してはどうか」と投げかけた。
この主張は、反捕鯨団体もかねてから訴えている。

ただ、イルカは泳ぎが早くウオッチングに適さないなど、種類によって向き不向きがある。
太地町は都市部からも遠く、地理的に観光に適しているかといった問題もある。
その上、八木監督は「他の国が行っているからといって、日本も『見る産業』にすべきだとは、押しつけがましいのではないか」と疑問を呈した。

一方、別の外国人男性は「(太地町の)捕鯨の方法が変われば協力することができるか」と反捕鯨活動家に尋ねた。
活動家は「できないと突っぱね、「いくら方法が変わっても漁には協力しない」とする姿勢を崩さなかった。

双方の姿勢の違いが鮮明となった討論は2時間に及び、最後に会場に集まった留学生らに捕鯨の是非の採決が取られた。
結果は賛成、反対ともに約4割で差がつかず、残りは「まだ決められない」とした。

日本では、3年後に東京オリンピックの開催が予定され、反捕鯨団体の動きも活発になるとみられている。
そんな中で行われた今回の討論イベント。
八木監督は反捕鯨活動家との対峙を終え、危機感を募らせつつこう力を込めた。

「反捕鯨(の主張)は当初、絶滅危惧種だから駄目というものだった。
それが捕獲方法が残酷だに変わって、最後は(鯨類は)賢いから駄目だと、論点がどんどんずれてきている。
日本人の立場をきっちりと発言し続けることが重要だ」

※以上です