炎天下の警備が少しでも涼しくなるよう、警視庁は内ポケットに保冷剤を入れられる特製の「冷却ベスト」を開発した。計1000着を機動隊に配備し、29日夜に東京都内で行われる隅田川花火大会から本格導入する。効果を検証し、2020年の東京五輪・パラリンピックでも使用を検討するという。

 警備1課によると、ベストは薄いメッシュ状の生地で、両脇と背中の計3カ所に保冷剤を入れられる。約800グラムと軽く、耐刃防護服などの下に着てもかさばらない。保冷剤は体に密着するよう折り目が付いており、冷やし過ぎないよう薄い断熱材で包まれている。

 冷却効果は2〜3時間で、長時間の任務では保冷剤の交換が必要になる。熱中症対策は数年前からの課題で、電動ファンの付いたベストなども検討したが、動きづらいため見送られたという。

 隅田川花火大会では90万人以上の来場が予想される。同庁は、観客のスマートフォンが発する無線通信Wi−Fi(ワイファイ)などの電波から、移動時間や混雑状況を測定するシステムなども試験運用する。
 鎌谷陽之警備1課長は「花火大会は五輪に向けた試金石の一つ。警備手法や装備の問題点を洗い出したい」と話した。
http://www.jiji.com/sp/article?k=2017072900156&;g=soc