「真っ先に北朝鮮の攻撃対象となるのは、米韓連合軍司令部のあるソウル市内の龍山(ヨンサン)米軍基地でしょう。
次いで、THAAD(高高度防衛ミサイル)の配備地に選定された星州(ソンジュ)郡の『ロッテスカイヒル星州カントリークラブ』。
同じく、ミサイル格納庫となっているソウル郊外の烏山(オサン)空軍基地も危ない」(軍事ライター)
もちろん、隣国である日本も例外ではない。
軍事ライターが眉をひそめて続ける。
「恐らくアメリカからは後方支援の役割を求められます。
特に武器、食料、燃料の提供でしょう。
しかしそれによって、日本の米軍基地も北朝鮮の有力な攻撃対象になるのです。
具体的には、朝鮮半島有事のための米軍用弾薬を保管している山口県の岩国基地。
あるいは米空母『ロナルド・レーガン』の母港である神奈川県・須賀基地、戦闘機『F-16』の配備地である青森県・三沢基地などがターゲットの候補と考えられます」
また、作家で北朝鮮に詳しい北一策氏も「防衛省の事情通からの情報」としてこう語る。
「京都府・経ケ岬通信所や青森真・車力分屯基地が攻撃される、という声もあります。
両基地には、ミサイル防衛用移動式早期警戒レーダーの『Xバンドレーダー』が配備されているのです」
日本へのミサイル攻撃を未然に防ぐ要までもが狙われようとしているのだ。

韓国原発は日本海側に集中
そして、直接的な基地への攻撃よりも恐ろしいのが"放射能汚染"である。
日本国内の原発にミサイルが飛んでくることも十分に想定されるうえに、仮に韓国の原発が破壊された場合でも、日本列島が放射能に覆われる最悪の事態を引き起こすというのだ。
「北朝鮮に攻撃を仕掛ければ、その反撃は韓国の主要都市や原発に向く可能性が最も高い。
現状、韓国国内には商業運転中の原発が20基以上ありますが、場所は4カ所しかありません。
しかもそのうち、釜山(プサン)近くの古里(コリ)、慶尚北道の蔚珍(ハヌル)と月城(ウォルソン)の3カ所は日本海側に集中している。
どこが攻撃されても日本への影響は甚大で、『3.11フクシマ』を超える事態すら想定されるのです」(前出・北氏)

昨年10月、米シンクタンク「天然資源防衛委員会」上級研究員の姜政敏(カン・ジョンミン)博士らが、古里原発で最大の原子炉を有する3号機の重大事故が起きた場合のシミュレーションを発表した。
それによると、使用済み核燃料の「セシウム137」が気体化し、大気中に拡散。
天候や風向き、風速を仮定して計算したところ、九州から中国、四国、近畿地方を中心に最大6万7000平方キロメートルが避難対象地域になり、2830万人が避難を迫られるという、悲惨な結果が出た。
しかも、直接の被曝ではない放射能被害に限れば、むしろ韓国よりも過酷な事態を招くという。
「古里原発は福岡から約200キロと日本からも近いだけに、被害の大きさはさもありなん。
しかもこれは、たった1基が破壊されたケースの試算ですからね。
古里には稼働中の原発がもう5基あります。
蔚珍と月城は古里の真北に位置しているので、これらが破壊された場合、関東や東北、風向きしだいでは北海道にまで放射能汚染が拡大することも想像にかたくない。
日本が逃げ場のない"放射能国家化"してしまうことすら考えられるのです」(前出・軍事ライター)
67年前の「第一次朝鮮戦争」は、日本人にとって文字どおり"対岸の火事"だった。
しかし、今度ばかりは他人事ではない。
目前に迫るトランプと金正恩という2人の「主役」の決断を、注視しておく必要がある……。