米軍と自衛隊が共同で使う厚木基地(神奈川県綾瀬市、大和市)の騒音被害をめぐり、周辺住民らが4日、日米の軍用機の飛行差し止めと損害賠償を国に求める5回目の訴訟を横浜地裁に起こす。爆音を響かせてきた米空母艦載機部隊は、岩国基地(山口県)への移駐が7月に正式決定している。ただ、移駐後の厚木基地の運用は示されておらず、原告団は騒音被害が続くことを懸念する。

 厚木基地は住宅密集地にあり、騒音被害を受ける住民は、神奈川県と東京都の計300万人に及ぶと推計されている。提訴に参加する住民は両都県の計8市に住む約6千人。年内に過去最大の1万人規模に膨らむ見通しだ。過去の訴訟に参加してきた住民のほかに、原告団の説明会やチラシなどで裁判のことを初めて知り、新たに参加する住民も多いという。

 1976年提訴の1次訴訟以降、騒音を違法状態とする判決が定着し、賠償は認められてきた。他方で飛行差し止めは、4次訴訟の一、二審判決で夜間・早朝の自衛隊機に限って認められたが、最高裁では破棄された。5次訴訟でも被害解消を目指し、飛行差し止めを訴えの根幹に据える。

 最大の騒音源は、横須賀を母港とする米空母の艦載機部隊だ。厚木基地で離着陸訓練を繰り返してきた。

 基地周辺の負担軽減のため、日米は2006年に艦載機部隊の移駐に合意。計画は遅れたものの、約60機と軍人・家族ら約3800人が、今年後半から来春にかけて岩国基地へ移ることが決まっている。

 だが、大波修二原告団長は「米…

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