経団連は2日、大企業を中心とした2017年夏のボーナスの最終集計をまとめた。上場企業150社の平均妥結額は87万8172円で、16年夏に比べて2.98%減った。5年ぶりに減少した。
好調な業績を維持できる見通しが労使交渉期間中に立ちにくかったことが背景にあり、製造業を中心に金額を引き下げる企業が目立った。

製造業は89万556円と16年夏に比べて4.89%減った。製造業がマイナスになるのも5年ぶり。自動車は6%以上減って99万5492円で、節目の100万円を割り込んだ。電機は81万5234円と4%強減った。

大手企業では春季の労使交渉で、従業員の給与を一律に底上げするベースアップ(ベア)に加え、夏冬のボーナスを同時に決めるケースが多い。
春の交渉時には円高で業績が悪くなる懸念のほか、トランプ米政権の経済政策に対する不透明感が強く、ボーナス増額に踏み切れる企業が少なかった実情を映す。

非製造業は16年夏に比べ5.92%増え、83万9091円となった。慢性的な人手不足に対応しようと処遇改善を急ぐ企業が多かった、建設は122万2410円と全業種で最も水準が高かった。
百貨店などの商業も81万8162円と2桁の伸びだった。

労働組合の中には、ベースアップを優先してボーナスの要求水準を下げる企業も出たようだ。経団連の集計ではベアと定期昇給を合わせた月例賃金は17年に2.34%増と前年(2.27%増)を上回る。
個人消費の底上げにはボーナスよりベアの方が効果が大きいとの試算もあるが、今回のボーナス減が短期的に消費にマイナスに働く可能性も否定できない。

配信 2017/8/2 15:46
日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS02H1S_S7A800C1EE8000/