上野や湯島周辺の繁華街が区境にまたがる東京都台東区と文京区は、客引き行為に対する取り締まりを独自に強化する条例を制定した。
時間帯を問わず、客引き行為を全面的に禁止することなどが柱で、悪質な業者には5万円以下の過料を科し、店舗名などを区のホームページで公表できるようにする。

風俗店や飲食店の客引き行為は、風俗営業法や都の迷惑防止条例で規制されている。しかし、風営法では、深夜営業の届け出をしていない飲食店については客引き行為が制限されない。
また、迷惑防止条例では、執拗しつような客引き行為以外は規制の対象外となっている。

そのため両区は、時間帯や深夜営業の届け出の有無を問わず、区内全域の風俗店や飲食店、カラオケ店などの客引き行為や、従業員のスカウト活動を禁止する条例を制定。
文京区は7月1日に施行済みで、台東区も10月1日に施行する。

また、両区は10月から、特に客引き行為が多い台東区上野2、4、6丁目と、文京区湯島3丁目33〜47番を「特定地区」に指定し、地元住民や区と契約した民間の警備会社が客引き行為を見つけ次第、指導を行えるようにする。
条例では罰則規定も設け、客引き行為をやめない業者については区が直接、警告や勧告を実施。従わない場合は5万円以下の過料を科し、店舗名や住所、違反内容を区のホームページに公表する仕組みを設けた。

さらに、台東区の条例では、中高生らに対する商品の営業行為も客引き行為と見なし、特定地区に限らず、区内全域で禁止とする文京区にはない規制を導入した。
台東区によると、JR上野駅近くのアメ横通り周辺では、外国人の店員が修学旅行生らに声をかけて洋服などを売る姿が目立つ。

苦情も寄せられているが、迷惑行為との線引きがあいまいで、野放しになっていた。同区生活安全推進課の担当者は「客引きをなくして、安心して観光できる街を目指す」と意義を強調した。

文京、台東両区にまたがる「特定地区」
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配信 2017年08月02日 17時30分
YOMIURI ONLINE
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