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【8月5日 時事通信社】トランプ米大統領が軍入隊禁止を発表したトランスジェンダー。米国による最大の軍事支援国イスラエルは、心と体の性が一致しないトランスジェンダーを含む性的少数者(LGBT)に「開かれた軍」を持つ。トランスジェンダーの元イスラエル兵は「われわれこそ最も有能な兵士になる可能性を秘めている」と力説する。

 イスラエルでは18歳の国民に対し、男性は2年8カ月、女性は2年の兵役義務を課している。イスラエル軍によれば、トランスジェンダーの将兵は約60人。性転換手術やホルモン剤治療も費用は基本的に軍の負担だ。

 「女性も男性のように戦う歩兵部隊に入ると決めていた」。昨年兵役を終えたリアム・ルビンさん(22)は入隊時を振り返った。当時は「リノイ」という名前の女性だった。幼少期から自身の体に強い違和感を覚えていたが、トランスジェンダーと自覚したのは入隊1年後。インターネットでトランスジェンダーのイスラエル兵の話を読み「自分と全く同じだ」と思った。

 すぐに軍医に性転換手術を相談。周りの兵士や家族にも打ち明けた。間もなくホルモン治療を始め、4カ月後には3週間休暇を取り、胸の切除手術を受けた。

 トランスジェンダーへの拒否反応がなかったわけではない。「私がいた部隊は理解があったが、軍全体がそうというわけではなかった。私たちの奮闘が軍に大きな変化をもたらした」と先駆者としての自負がある。

 トランプ政権の方針転換に対し、ルビンさんは「多額の医療費を理由に挙げているが、全体の中のトランスジェンダーの割合はわずかなので筋が通らない」と批判する。「私たちは(さまざまな悩みを抱えてきた分)社会をより良くしようという意識が高く、やる気に満ちた兵士が多い」と訴えた。(c)時事通信社