NHKNEWS8月7日 19時34分
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不登校や外国人の子どもたちなどが学ぶ公立中学校の夜間学級、いわゆる「夜間中学」をすべての都道府県に設立するよう求める説明会が7日文部科学省で開かれました。

この説明会はことし2月、不登校などの子どもたちにも学びを保障する「教育機会確保法」が施行されたことを受けて開かれ、全国の教育委員会の担当者など50人余りが参加しました。

はじめに文部科学省の高橋道和初等中等局長が「国勢調査によると15歳以上の未就学者は12万人いるとされている。教育を受ける権利を一人一人に提供するため、夜間中学は必要だ」と述べました。

公立の夜間中学は、戦後、義務教育が受けられなかった人たちのために設けられ、最近では不登校などで中学校を卒業できなかった若者や、外国人の子どもたちの学びの場となっていますが、現在は8つの都府県に31校しかありません。

7日の説明会では文部科学省の担当者が、夜間中学には中学校を卒業していても十分な教育を受けられなかった生徒だけでなく、在校中の不登校の生徒についても入学を認めるよう求めました。

文部科学省によりますと、ことし3月に、現在、夜間中学がない愛知県や埼玉県など5つの県で調査した結果、読み書きなどを学ぶため、夜間中学に通いたいと答えた人は1700人余りに上ったということです。

文部科学省は各都道府県に対して同様の調査を実施するとともに、少なくとも1校は夜間中学を設立するよう求めていくことにしています。

各地で夜間中学を求める声

公立の夜間中学の設立を求める意見は各地で相次いでいます。

千葉県松戸市にある「自主夜間中学」です。

不登校や外国人の子どもたち、さらに障害のある若者などおよそ40人が通っています。この夜間中学は市民グループの手によって、35年前に設立され、これまでに1800人の卒業生を送り出しています。

ボランティアで講師をしている藤田恭平さんは、新聞社を退職した後、90歳となった今も休むことなく授業を行っています。藤田さんらは長年、市内に公立の夜間中学の設立を求めてきましたが、去年の法律の施行で、ようやく設立が実現することになりました。

藤田さんは「やっと実現するのかと思うと大変うれしいです。自分の力ではどうにもならない事情で学ぶことを諦めてきた人たちが、ここでは喜んで勉強している。学ぶことは人が尊厳を持って生きるためにいちばん大切なことだと思う」と話していました。