香川県議6人が6月に赴いた海外視察に対して、住民の批判が高まっている。

 視察中の飲酒や観光地の訪問に「税金の無駄遣いではないか」との疑念があるからだ。視察した県議は、飲酒を不適切だと認めたものの、「遊びで行っているわけではない」と意義を強調する。公金から支出するにもかかわらず、明文化された規定がないことが問題の背景にある。

 ◆抗議数百件

 視察報告書によると、自民党議員会に所属する平木享、山田正芳、谷久浩一、高木英一、松本公継、松村秀樹の各議員が6月1〜9日、ドイツ、スイス、イタリアを訪れた。県と交流協定を結ぶパルマ市(イタリア)のほか、政策研究のため、地熱発電所(ドイツ)やアルプス山上のリゾート地などをみた。県職員2人も同行し、費用は約990万円だった。

 批判のきっかけは、民放の番組で県議が観光地を巡ったことや飲酒する様子が放送されたからだ。電話やメールなどで「税金の無駄遣いだ」「視察中に酒を飲むのはおかしい」との抗議が数百件あったという。

 ◆ルール不明確

 視察は、議会の申し合わせで認められている。4年に1度、1人100万円程度という。公務扱いとなり、議長あてに報告書を提出する。本議会の承認が必要だ。

 しかし、視察のルールについて明文化されておらず、費用の上限や公費で支払う範囲などは明確ではない。今回は職員2人を含めて計8人だが、費用は膨らんでいる。

 唯一の審査と言える本会議でも提示された情報は訪問国と期間のみで、本格的な議論はなかった。

 民放での放送以降、市民オンブズ香川(植田真紀代表)は、議会事務局に抜本的な見直しを陳情。今後、視察費用全額の返還を求める監査請求も行うという。高松市議でもある植田代表は「県政のために必要なものなのか、真剣に見直すべきだ」と話す。

 ◆「報告書読んで」強調

 批判などを受け、五所野尾恭一議長は「今回多くのご意見をいただき、あり方について検討を進めたい」とのコメントを県議会ホームページに掲載。議会改革検討委員会では、海外視察も議題に加えるという。

 視察団の団長を務めた平木議員が取材に応じ、パルマ市でのハム工場視察を挙げて「テレビで放送した内容だけでなく、色々な場所を視察している」と、「報告書を読んでほしい」と強調した。一方で「昼間の視察中にビールを飲んだのは不適切だった」とした。報告書は会派のフェイスブックに公開している。(佐々木伶)

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