鹿児島県姶良市は今秋、同市蒲生町上久徳の国特別天然記念物「蒲生のクス」を再生させる事業に乗り出す。

 昨冬の寒波で枯れ枝が増えており、市は地域のシンボルに再び樹勢を取り戻させたい考えだ。

 推定樹齢約1500年で、高さ約30メートル、幹回り24・2メートル、根回り約33メートル。蒲生八幡神社の境内にあり、市が管理している。

 1988年に行われた国の巨木調査で、幹回りが全国一と発表された。市民からは「おおくすどん」と呼ばれて親しまれ、最近は神秘的な風景からパワースポットとしても人気がある。

 しかし、2012年頃から葉が小さくなったり、色が薄くなったりする衰えが目立ち始めた。そこに昨年1月の記録的な寒波が重なり、枯れ枝が急増。同5、6月に樹木医が調べたところ、日本樹木医会の衰退度判定(5段階)で2番目に悪い「著しく不良」と診断された。

 そこで市教委は、10月から19年度までの3年間で、クスが生育しやすい環境を整備することにした。高所作業車で枯れ枝を切断するほか、掘削機で根回りの土壌をほぐし、根の腐食を防ぐ。事業費は約4500万円で、半額は文化庁の「天然記念物再生事業」で賄う。

 再生事業は、96〜99年度に旧蒲生町が行ったことがある。市教委社会教育課は「市民にとっては身近な存在で、姶良市の宝。まずは元気になってもらいたい」としている。

 作業は10月に始まる予定。一部エリアへの入場を制限するが、見学自体はできるという。(中村直人)

http://yomiuri.co.jp/national/20170809-OYT1T50151.html
おおくすどん
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