2016年に新設された国民の祝日、山の日。普段登山をしない人は、いったいどのように過ごせばよいのでしょうか

本日8月11日が、何の日かご存じですか?

今年で2年目を迎えた「山の日」です。昨年、年間16日目の国民祝日となったものの、「山の日って何月何日?」と不意に尋ねられて「8月11日」とすぐに答えられない人も多いのではないでしょうか。それもある意味当然なこと。日本は国土の約7割が山地で占められる世界屈指の「山の国」であるにもかかわらず、直近の2015年の登山人口は730万人ほどです。しかも、この数字には山菜採りなどの本格的な登山ではないものも含まれています。

■普段登山をやらない人は、山の日に何をすればいい?

趣味で年間50日は山に出掛ける私としては、この祝日をきっかけに、日頃登山に縁がない人を含めて少しでも多くに山の楽しさを知ってほしいと願っています。ただ、最初に山の日ができると聞いたときは、「なぜわざわざ祝日にするのか」と正直ピンと来ていませんでした。

ましてや、日頃山に親しんでいない人たちにとっては、祝日が1日増えるだけで、特に何も変わらないのではないでしょうか。そこで今回、一般の人はこの日をどのように活用すればいいのかを取材してみました。

そもそも、山の日はどのような経緯で祝日になったのでしょうか。一般財団法人全国山の日協議会の理事・事務局長で、山の日制定に尽力した手塚友惠氏によれば、制定への動きが本格化したのは2010年のこと。日本山岳協会(現?日本山岳・スポーツクライミング協会)などをはじめとした山岳関連5団体が「山の日制定協議会」を発足させ、国民の祝日にするための運動が始まったといいます。

「でもそのときは『山の日を祝日にしたい』という情熱だけを拠り所に活動をする人々の団体で、『国民の祝日』にするための具体的な戦略はまだ練り上げられてはいませんでした」(手塚氏)。そこで山の日協議会は、自民党衆議院議員(当時)で、日本山岳ガイド協会会長も務める谷垣禎一氏に相談。登山やサイクルスポーツに親しんでいる谷垣氏は、この事案に親身になって取り組み、「山の日」制定に向けた動きが一気に加速しました。

問題は日にちの設定です。「国民の祝日がないのは6月と8月。全国的に山に親しみをもってもらうためには夏休み中がよく、お盆の時期にすれば、帰省してふるさとの山に親しむといった効果が得られるし、経済や教育への負の影響も少ないのではというような議論もあり、さまざまな調整の末に8月11日とする法律改正案が取りまとめられました」(手塚さん)。

■それでは「山の日」は何をする日なのでしょうか。

国民の祝日に関する法律の第2条には、山の日が以下のように定義されています。

「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」

山の日協議会では、官公庁・民間団体、企業、大学などの研究機関と連携しながら、山の日に絡めたさまざまな取り組みを行っており、2016年には、協議会がかかわる関連イベントが全国54カ所で行われました。

ただ、日頃登山とは縁遠い人にとって、こうしたイベントに参加したり、ましてや山の日だからといって、いきなり登山関連のイベントに参加したり、実際に山に登ったり、というのはなかなかハードルが高いことです。いったい、どのように親しんでいけばいいのでしょうか。

■「推し山」をつくると、山への愛着はぐんと深まる

登山家・山岳ガイドで、ネパール・ヒマラヤ、キャシャール峰 (6767m)南ピラーに初登攀(とうはん)した花谷泰広氏は、まずは「山の入り口」に立ってもらうアイデアが必要、と言います。

「山に登るきっかけをつくることが大切です。一般の人にとって、登山のハードルはとても高い。道具をそろえて、山を知っている人からその作法を教わって、体力もつけて……と、準備が多いイメージですよね。でも、山は本来もっと身近なものなんです。

初めは、スニーカーを履いて、遊びに行く感覚で、近所の里山に行くだけで十分、と語る登山家・山岳ガイドの花谷泰広氏(筆者提供)

そもそも、日本は里山だらけ。いきなり富士山とか北アルプスとかではなく、近所の里山に1時間くらい行くだけでも楽しめる。スニーカーを履いて遊びに行く感覚で十分です」(花谷氏)

こうして山に慣れてきたら、「推し山」をつくっておくと、山への愛着が一層深まると言います。※以下省略 全文はソース先をお読み下さい

東洋経済オンライン 2017年08月11日
http://toyokeizai.net/articles/-/184141