数年に1度 不定期に咲く木の「一斉開花」予測に成功
2017年08月13日 06時00分
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ラワン材の材料となるフタバガキ科の一斉開花・結実のようす(国際農林水産業研究センター)
 家具や建築に使われるラワン材の安定供給を目指して、材料のフタバガキの木について研究していた国際農林水産業研究センターなどのグループは、
従来は不可能だった不定期に「一斉開花」する現象の予測に成功したと発表した。

 ラワン材の材料であるフタバガキ科の木は、フィリピンやマレーシアなど東南アジアの熱帯雨林の8割近くを占める。
苗木作りには、天然の種子を必要とするが、この木は数年に一度、不定期に一斉に開花して実をつけるため、種子の採取が難しく、計画的な苗木生産ができなかった。

 国際農林水産業研究センターと九州大学は、マレーシアの大学や研究機関と共同で、マレー半島で約4年間、フタバガキ科の木の開花をモニタリングするとともに、葉と芽にある開花を引き起こす遺伝子の活動量(発現量)を調査。

 その結果、この4年間で2回の一斉開花が起こったが、いずれも開花の1カ月ほど前に葉と芽の両方で開花遺伝子の活動が始まることがわかった。
調査地周辺の降水量や気温との関係について計算したところ、
一定期間の平均気温が25.7℃以下に下がり、1日あたりの降水量が182ミリ以下と乾燥・低温状態が続いた場合、その9〜11週間後に開花遺伝子が働いて、一斉開花が起こるメカニズムを解明した。

 降水量と気温から一斉開花を予測できることで、これまでは偶然に頼っていたフタバガキの種子の収集が計画的かつ効率的に行えるようになり、木材の安定供給につながると期待されている。

 国際農林水産業研究センターの研究チームは、地球温暖化の影響を受けやすいと考えられている熱帯雨林で、気候変動に適応した予測を行なって、林業や森林の生態系保全に貢献したいと話している。

 この研究成果は、国際科学誌『Molecular Ecology』に掲載された。

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研究チームは、フタバガキ科の「S.curtisii」と「S.leprosula」の2種類の木を4年間観察した(国際農林水産業研究センター)

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一定の低温・乾燥条件が続くと、その9〜11週間後に開花が起こるという(国際農林水産業研究センター)