日銀は債務超過になっても大丈夫なの?

池田 信夫
http://agora-web.jp/archives/2025720.html

詐欺師の話は100%ウソということはありません。本当の話とウソをまぜるのです。
この話の「日銀と政府のバランスシートは一体」だというのは本当です。
もともとマクロ経済学には、政府と中央銀行のバランスシートの区別はありません。
しかし日銀が国債を買ったら「差し引きゼロ」になるんでしょうか? 
そんなフリーランチがあるなら、日銀が国債をすべて買ったら、財政再建は終わります(高橋さんはそう書いています)。
税金もゼロにできます。なぜ日銀は無限に国債を買わないんでしょうか?
それは日銀券も国民に対する借金だからです。
お札は借金の証文みたいなもので、国の借金という点では国債と同じですが、金利がつきません。
だから金利のつかない日銀券を発行して金利のつく国債を買うと、日銀はもうかります。
日銀はこの利益(通貨発行益)を「日銀納付金」として国に収めています。
でも金利が上がると困ります。
日銀が買った国債の金利が上がるということは国債価格が下がるということですから、
日銀は大きな評価損をかかえて債務超過(借金が資産を上回る)になります。国会で黒田総裁が認めたように、
「長短金利が2%上昇すれば、平均残存期間8年の日銀保有国債の時価は約14%低下をして、そして日銀の損失は51兆円になる」。