毎日新聞 2017年8月14日 21時53分(最終更新 8月14日 21時53分)

キッシンジャー氏らが相次いで米国主要紙に投稿

 【ワシントン会川晴之】トランプ米大統領が北朝鮮の挑発的な言動に呼応して「砲火と激烈な怒りに直面するだろう」などと好戦的な発言を繰り返すことに米国内で懸念の声が広がっている。キッシンジャー氏ら歴代の大統領補佐官(国家安全保障担当)が相次いで米国主要紙に投稿、「慎重に検討し、発言を抑制する必要がある」(キッシンジャー氏)と冷静な対応を求めている。

 ニクソン、フォード両政権で補佐官を務めたキッシンジャー氏は米紙ウォール・ストリート・ジャーナルに投稿し「おそらく唯一の可能性がある取り組みは、米中両国が合同して対処することだ」と提案した。中国は米国と同様に朝鮮半島の非核化を望んでいるほか、北朝鮮の核武装により日韓両国が核武装を求める動きが加速しかねず、そうした事態に中国は米国以上に気をもんでいると指摘、協力の余地があると主張した。

 キッシンジャー氏は、北朝鮮が資金獲得のため核兵器の技術を他国に売却すれば、国際社会の安全保障環境が激変するとも指摘。北朝鮮が核やミサイル技術を完全に習得する前に交渉に入ることが「最も分別ある道だ」と説いた。

 オバマ前政権の補佐官だったスーザン・ライス氏は米紙ニューヨーク・タイムズに投稿。トランプ政権が、北朝鮮の核保有を「我慢ならない」と繰り返し、緊張を高めていると批判し「新たな現実に向かい合わなければならない」と指摘した。その上で、核兵器を米国や同盟国に使用したり、核兵器を他国に渡したりした場合、北朝鮮が壊滅的な状況を迎えるとする「レッドライン」を、北朝鮮に対し明確に提示すべきだと主張した。

 一方、トランプ政権のマクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)は13日にテレビ出演し、1953年の朝鮮戦争休戦協定以後「われわれは常に事態に対処できるように態勢を整えている」などと、米軍が臨戦態勢にあると強調。核兵器を含めた北朝鮮の脅しに対し「トランプ大統領は、これを容認できないと明確に述べている」と、従来の主張を繰り返した。

https://mainichi.jp/articles/20170815/k00/00m/030/104000c