中国外務省の華春瑩副報道局長は15日の定例会見で、安倍首相が靖国神社に玉串料を納めたことについて、「我々は日本側の誤ったやり方に断固反対する」と批判し、「侵略の歴史を深く反省し、実際の行動でアジアの隣国と国際社会の信用を得るように日本側に促す」と主張した。

中国では、NHKが13日に放送した、第2次大戦中に中国人捕虜らに人体実験していた「731部隊」の実態を伝える番組が注目されている。
華氏は同番組を念頭に「日本軍は大罪を犯した。日本は正確に過去の歴史を認めて初めて歴史の重荷を下ろすことができる」と指摘。その一方で、「真相を明らかにした日本の有識者の勇気を称賛する」と評価した。

中国メディアも、72回目の終戦の日を迎えた日本を手厚く取り上げている。国営新華社通信は15日、国外向けの英語版で「安倍首相は日本の戦争責任に対する『反省』にまたもや言及しなかった」と批判する一方で、天皇陛下が「深い反省」との表現を3年連続で述べたことを好意的に紹介した。
安倍首相が靖国神社に参拝しなかったことについては、朝鮮半島情勢が緊迫する中、中国や韓国との外交関係への悪影響を避けようとしたと伝えた。

15日付の主要各紙は、日本の侵略の歴史などを批判する記事は目立たず、対日批判のトーンは抑制気味だった。
習近平(シーチンピン)国家主席と安倍首相が首脳会談を重ね、日中関係が改善基調にあることが影響しているとみられるほか、今秋に習指導部2期目の体制を固める共産党大会の開催を控え、対日関係を安定させたい中国側の思惑もうかがえる。(北京=西村大輔)

配信 2017年8月16日01時04分
朝日新聞デジタル
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