産経WEST2017.8.16 14:03更新
http://www.sankei.com/west/news/170816/wst1708160041-n1.html

 ペットの火葬場や霊園をめぐるトラブルが後を絶たない。いずれも設置に関し法律で規制されていないためだ。周辺住民が反対するケースがあるほか、ずさんな経営者による問題も顕在化しており、一定の法規制を求める声もある。

 調査会社「矢野経済研究所」によると、ペット関連産業は年々拡大しており、平成27年度の総市場は前年度比1・5%増の約1兆4720億円(推計)。業界団体によると、火葬業者は全国で千社以上が乱立しているという。

 人の墓地や火葬施設の開設は墓地埋葬法で規制されている一方、ペットの火葬場や霊園を規制する法律はない。ただ、死骸を扱うだけに敬遠する声も多く、ペット火葬場や霊園の設置に住宅街からの距離規制を盛り込んだ条例を施行する自治体も増えているが、交野市にはまだない。

 ペット火葬業者80社以上が加盟する「日本動物葬儀霊園協会」の中村修二理事長は「協会では商業道徳を徹底している」と強調。火葬場の条例については「設置できる場所が非常に限られ、隠れて営業する業者が出るのではないか。業界内の自己改革でやっていきたい」と訴える。

 霊園に関する問題も出ている。大阪府枚方市では今年1月、ペット霊園「宝塔」が突然閉園。利用者に十分な告知もなく、敷地には遺骨や墓石が散乱する事態となった。利用者によると、同霊園をめぐっては、もともと土地の無断使用や異臭の問題があり、地権者が土地の原状回復を求める訴訟を起こすなどトラブルを抱えていたという。

 同市環境指導課の担当者は「ペット霊園を規制する法律も条例もなく、立ち入りや指導などの対応ができない」と明かした。