8/20(日) 8:09配信
産経新聞

21日の皆既日食で太陽光発電ピンチ! カリフォルニアで電力560万キロワット消失
2009年7月、北硫黄島沖で観測された皆既日食(山田哲司撮影)(写真:産経新聞)
 米国で21日に観測される見込みの皆既日食が電力供給の懸念材料になっている。月が太陽を完全に隠すことで、太陽光発電の出力が一時的に減少するためだ。普及が進むカリフォルニア州では出力が561万キロワット失われるとの試算もある。

  米航空宇宙局(NASA)によると、皆既日食が始まるのは米西部時間の21日午前10時(日本時間22日午前2時)すぎ。西部オレゴン州を皮切りに、見える場所が少しずつ南東方向に移動する。約1時間半かけて計14州を通過し、南部サウスカロライナ州に達する。米国の広い地域で観測できるのは1979年以来で、観測地域全体の住民は、米人口の約6割に相当する約2億人に上るという。

 各地の観測時間は最長2分40秒と短いが、部分日食も含めると太陽が遮られる時間は約4時間に及ぶ地域もある。米国の太陽光発電の出力は計4470万キロワット(3月末時点)と5年前から約9倍に増えており、電力供給に大きな影響を与える可能性がある。

 例えば、米企業の試算によると、カリフォルニア州は出力計1830万キロワットのうち561万キロワットが一時的に減少する。日本の標準家庭で契約容量が30アンペアならば、約187万世帯分に相当する。

 米通信社ブルームバーグは、「日食で(全米の)太陽光(発電の出力)が原子炉9基分に当たる900万キロワット以上減少する」と報じた。夏場のエアコン使用で電力需要が膨らむ中、「卸電力価格の急騰を引き起こす可能性がある」とも指摘している。日食の間、安定供給を維持するためには、火力発電など他の電源の出力を上げて調整する必要がありそうだ。

 一方、日本の太陽光発電の出力は計3847万キロワット(3月末時点)。太陽光や風力などの再生可能エネルギーを決まった値段で買い取る「固定価格買い取り制度」(FIT)が平成24年7月にスタートし、急拡大した。

 国立天文台によると、日本で皆既日食が観測されるのは約18年後だが、部分日食が約1年5カ月後に迫る。日本も米国と同様に太陽光発電の出力が減少する問題が浮上する恐れがあり、電力の安定供給をいかに確保していくかが問われている。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170820-00000503-san-bus_all
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