「自分が考える貧困は?」「生活保護や大学授業料の無償化についてどう思う?」。中高生のための「貧困ってなんですか? 夏休み特別セミナー」が8月上旬、東京都内で開かれた。ホームレス状態にある人の新しい生活を支援する認定NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」が主催。参加した中高生と一緒に、私も学んだ。

■「子供がずっと家の仕事をしている」「家庭の事情で将来の選択がはく奪」

「もやい」は2001年に始まって以来、大人向けのセミナーを開き、大学の授業に呼ばれて講演してきた。子供の貧困がニュースになる中、中高生にも考えてほしいと初めて企画。今回、参加したのは中1から高3までの13人で、3つのグループに分かれて自己紹介から始めた。ファシリテーターとしてもやいのボランティアスタッフも加わった。

「ホームレスって、何人ぐらいいると思う?」「見たことある人は?話したことはある?」。「もやい」理事長の大西連さん(30)が問いかけた。「厚生労働省の調査では6000人ぐらいだけど、ネットカフェなどに泊まっている人も含めると、4万人ぐらいとも言われています」との説明に、メモを取る中高生たち。会社が倒産したり、急に病気になったり、家族を亡くしたり―支えがなくなってホームレスになる可能性があるという具体例がわかりやすかった。

その後、大西さんが例を挙げて「このケースは貧困と思う?」と聞いた。

「3日もごはんを食べていない」「深夜営業のファストフード店で寝ている」

「制服や体操服が破れても買い換えない」「サッカー部に入りたいけど、スパイクを買うお金がないからあきらめている」

中高生から手は上がらなかった。確かに、制服や部活の話は判断が難しい。だが、用紙に自分の考えを書き込み、グループごとに話すと様々な意見が出てきた。

「3日間、食べてないとか、空腹なのに満たされないとか。お母さんが昼も夜も働いているから子供がずっと家の仕事をしなきゃいけない場合が貧困だと思う」(中学生)

「大学に入りたいけど、行けない。意識的に家庭の事情で将来の選択肢を、はく奪されるのが貧困と思う。テレビで、自分と同い年ぐらいの子が、親に申し訳ないからと進学や部活をあきらめてアルバイトしているのを見た。親に言い出せない、将来のつながりがストップされちゃうこと」(高校生)

しっかりと言葉を選び、伝える様子に驚いた。

■ 生活保護のお金でパチンコはOK?NG?

貧困率についても話があった。「日本に1億2000万人いるうち真ん中ぐらいの所得の、半分に満たない人は15パーセントぐらい。6人に1人いるんです。この貧困率は、OECD加盟国の中で下から6番目なんですよ」と大西さん。

「日本の貧困は見えにくい。夜通し働かないといけない人が貧困、という意見も出ていたけど、その人を見ただけではわからないですよね。貧困と言われる場合、一人暮らしだと使えるのが月に10万円。東京のアパート代は5万ぐらいとして、食費が1日1000円で3万円。病院代や交通費、学費も出すと苦しいです」

10万円、というと十分に見えるが、かかるお金を考えるとイメージできる。

さらに「収入が低い人が増えています。みんなに覚えて帰ってほしいのだけど、日本の憲法には、健康で文化的な最低限度の生活をする権利、生存権がある。生活に困った人には、お金を受け取れる生活保護という制度があり、もやいはこの制度を使えるように活動しています。でも、生活保護とネット検索すると、悪いイメージが多い。怠けてるとか、国のお金でとか…」と大西さんの説明が続く。

ある自治体の「生活保護や児童扶養手当を受けている人がパチンコをしていたら通報する」という条例を挙げ、「生活保護のお金でパチンコはOK?NG?」のテーマでグループワークに入った。

■ 討論を通して考えが変わった

中高生が用紙に意見を書き込み、パチンコがOKとNGの理由を話し合った。「もらったお金だからいい。パチンコはだめでカラオケならいいの?」「きっと税金から出ているから、納めている人が知ったら嫌だろうな。子供のために使っていなかったらダメだと思う」「それでストレス解消できるなら、命を絶つよりいい」「生活保護を受けずにギリギリの生活をしていて、パチンコをできない人もいるからNG」

※以下省略 全文はソース先でお読み下さい

HuffPost Japan 2017年08月20日 17時49分
http://www.huffingtonpost.jp/2017/08/20/poverty_n_17791318.html?ncid=tweetlnkjphpmg00000001