サイドカーはピンキリで、世界最高の側車設計士は世田谷は上馬にあった"のりもの館"の主人だったと聞いている。
側車つき2輪車は、モノコックフレームをもつ一部の例外をのぞくと、構造的に剛性が確保できない。
そのため、加速で舟はとり残され、ブレーキをかければ前に振り出され、
右旋回では舟のタイヤは左にひしゃげながら連結シャフトは下反りに、
左旋回では舟のタイヤは右にひしゃげながら連結シャフトは上に反り、と、
2輪車と側車の車輪は角度が常に変化するのだ。
だから、連結アームをつける位置や部材の3方強度、舟の重量、ブレーキの有無、ブレーキがある場合はカウンタートルクの受け方、車輪のマウント方法と3軸の味つけなど、
剛性がある車体とちがってクラフターの経験が色濃く出てしまうのだ。
さらに直列4気筒などでは旋回Gに対してエンジンがつっ立ったままで傾かないため、
クランクケースに間仕切りをしないとオイルが寄って息つきを起こしてしまい、
これが共振を誘発するとなすすべもなく車体は泳いで簡単に3輪スリップしてしまう。
ただポンと付ければいいものではないのだよ。