>>1の続き

●THAADとイージス防衛システム

先月28日に北朝鮮が2度目の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射に踏み切ったことを受けて、韓国の文在寅大統領は環境調査の結果が出るまで延期するとしていた当初の方針を覆し、THAADの早期配備を指示した。またグアムにもTHAADが常駐している。

だがTHAADは距離200キロ、高度150キロの範囲内の目標しか迎撃できない。これは北朝鮮が最近行ったミサイル実験の軌道よりも低い。

THAAD以外にもイージスミサイル防衛システムを装備した米海軍の艦船から発射される海上配備型迎撃ミサイル(SM3)で、大気圏再突入前の敵弾道ミサイルを迎撃できる。

弾道ミサイル防衛システムの開発・実験・配備を行う米国防総省のミサイル防衛局は、艦上と地上に配備したイージスシステムの実験を行ってきた。イージスシステムの迎撃成功率は83%だという。

横須賀を母港とする米海軍第7艦隊には12隻の艦船が配備されているが、このうち10隻がイージスシステムを搭載している。また海上自衛隊に6隻、韓国軍に3隻のイージス艦が配備されている。

以下に示した図は、5月14日に北朝鮮が発射した「火星12」に対し、THAADとイージスシステムが迎撃できる範囲を示したものである。

●民間人はどう備えるべきか

「差し迫るミサイルの脅威への備え」と題したマニュアルの中でグアム当局は、「放射能汚染を通さないほど厚みのある」コンクリートで覆われた住宅や学校、オフィス内の窓のない部屋を探すよう島民に求めている。

万一、屋外にいるときに攻撃があった際は、頭を覆い隠すように伏せ、視力を失わないようにするため「閃光や炎を見てはいけない」としている。
(終わり)