南海トラフ地震の新たな防災対策を検討している政府の中央防災会議作業部会は25日、予知を前提とする防災対応の見直しを柱とする報告書案を大筋で了承した。発生時期を「確度高く予測することは困難」として直前予知を否定し、震源域で地震が連動する恐れがある場合などに避難を促す方針を盛り込んだ。

 報告書案は、東海地震の直前予知を前提とした大規模地震対策特別措置法(大震法)に基づく防災対応について「現在の科学的知見では取ることは困難」と指摘。改める必要性を強調したが、法改正などの具体的な議論は先送りした。

 地震が連動する可能性については、1900年以降に全世界で発生したマグニチュード(M)8以上のケースを例示するにとどめ、「数字が一人歩きする」などとして発生確率を明記することは避けた。

 南海トラフの震源域の東側でM8級の地震が発生した場合、連動して西側でもM8級が3日以内に発生する可能性は96回のうち10回(10%程度)と推定し、短時間で津波が到達する沿岸地域の住民には発生から3日程度の避難を促す。

 また、震源域のどこかでM7級の地震が発生した場合、同規模以上の地震が同じ領域で7日以内に発生する可能性は1368回のうち24回(2%程度)と推定。7日間は避難に時間がかかる高齢者らに避難を呼びかけることを提案した。

 この日の作業部会で小此木八郎防災担当相は「最終的な報告書を踏まえ、防災対応がレベルアップするように政府も一丸となって取り組みたい」と述べた。

 政府は東日本大震災を受け東海地震を含む南海トラフ地震の防災対応の見直しに着手。平成25年に確実な予知は困難とする見解をまとめ、議論を進めていた。

南海トラフ地震の防災対応案
http://www.sankei.com/images/news/170825/afr1708250013-p1.jpg

配信2017.8.25 11:22更新
産経ニュース
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