待機児童3年連続増、施設整備追いつかず 4月2万6000人に
2017/9/1 10:49
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDF31H0X_R30C17A8MM0000/?dg=1&;nf=1

 厚生労働省は1日、希望しても保育所などに入れない待機児童が4月1日時点で前年比2528人増の2万6081人になったと発表した。3年連続で前年より増えた。景気が回復し子どもを預けて働きたい人が増えたうえに、都市部で施設整備が遅れたことが影響した。政府は待機児童を2020年度末までにゼロにする目標を掲げている。達成には受け入れ体制の整備を急ぐ必要がある。

 自治体が認可する保育所や、幼稚園と保育所が一体になった「認定こども園」などが受け入れる保育の総定員数は4月1日時点で約284万人だった。国と自治体が少子化への対策を進めた結果、定員数は前年より約11万人増えている。施設を整備するほど入所の申込者も増え、待機児童が増える形だ。

 自治体別に見ると、待機児童の伸びが最も大きかったのは東京都大田区で、前年に比べて343人増えた。増加数は東京都目黒区が318人増、千葉県習志野市が268人増で続く。都市部の自治体では、大型のマンションが建設されて保育所への入所希望が急に増えるといった事例が目立つという。

 待機児童が最も多かったのは東京都世田谷区で861人だった。前年比では337人減ったが、保育所待ちの人は多く残っている。第2位は岡山市の849人。東京都目黒区が617人、千葉県市川市が576人で続く。

 一方で青森県や富山県など7県は待機児童がゼロだった。待機児童が前年に比べ最も大きく減ったのは那覇市で、359人減の200人になっている。前年には105人の待機児童がいた東京都豊島区はゼロになった。市区町村別にみると約8割の自治体では待機児童がゼロになっており、分布には偏りがある。

 年齢別に見ると、0〜2歳児が2万3114人で全体の9割近くを占める。施設から見ると、年齢が小さい子どもほど1人の保育士が面倒をみることのできる人数が少ない。このため、0〜2歳児の入所が特に難しくなっている。

 厚労省は自治体ごとにばらつきがあった待機児童の定義について、「親に復職の意思がある場合は育児休業中も待機児童に含める」とまとめ、今年度から適用をはじめた。9割の自治体が今回の調査でこの定義を適用し、待機児童の公表数が増えた自治体もある。

 厚労省は13〜17年度の5年間で約52万人分の定員枠拡大を計画している。企業主導型保育所をあわせると60万人分近くを整備できる見込みだ。18年度以降も保育所の需要増に見合うペースで整備を進めるには、財源と人材の両面で課題がある。