大雪山旭岳を染める血のような「彩雪」〜謎解明し観光資源に〜北大
2017年09月03日 07時00分
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雪面がピンクに染まった彩雪現象。北極や南極など世界各地で観測されている(撮影:Will Beback/Wikimedia Commons)
 
 北海道の最高峰・大雪山旭岳では、雪面が赤や緑色に染まる「彩雪(さいせつ)」という現象が見られることがある。
北海道大学のグループは雪をゲノム解析して、さまざまな種類の微生物が存在しているのを突き止めた!

 北大低温科学研究所の福井学教授らのグループは、雪解けが進んだ6月中旬から下旬にかけて、赤と緑に染まった彩雪現象を確認。
これらの雪を採取して顕微鏡で観察すると、複数の微生物がいることがわかった。

 そこで、採取した雪の遺伝情報を解析したところ、赤雪ではクロロモナスという藻類や多数のバクテリアを確認。
一方で緑雪には特定の一種類の藻類ばかりが存在するなど、彩雪現象ごとに生息する微生物の構成が異なっていたという。

 低温環境にも耐えられる藻類を「氷雪藻」と呼ぶが、採取したクロロモナスを培養した結果、大腸菌やサルモネラ、ヘリコバクターなどと同じ仲間であるプロテオバクテリアという細菌が見つかったことから、研究グループは、
「彩雪は、氷雪藻とバクテリアの相互作用によって発生している可能性が高い」と指摘し、観光客が少ない季節の新たな観光資源につながる可能性があると期待を寄せている。

 なおこの研究成果は、スイスの微生物学誌『Frontiers in Microbiology』に掲載された。


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大雪山旭岳でみられた赤雪(北海道大学)

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左:赤雪の顕微鏡写真。直径 10〜40?m の赤やオレンジ、緑、茶色の藻類細胞が見える
 右上:氷雪緑藻クロロモナスと共存する細菌
 右下:細菌とクロロモナスには何らかの相互作用があると考えられる(北大)