■謎の多い女性 メルケル首相

■東ドイツへ移住
 アンゲラ・メルケルは、1954年ハンブルグで生まれた。アンゲラ誕生の数週間後、プロテスタントの神父である父ホルスト・カスナーは、家族を連れてソ連が支配する東ドイツに移住。

西側のプロテスタント教会の保護下で、西側の新聞やテレビ放送を利用するなど、かなり自由な生活だったという。

共産主義が崩壊した東ドイツで、35歳のメルケル氏はリベラル保守政党の『民主主義の出発』に参加。その後東ドイツCDUを経て、東西ドイツ統一後はCDUに入党し選挙に出馬。

当時のコール元首相に「クリスチャン家庭出身で、完全に共産主義に染まっていない東出身の女性」候補として期待され、女性・青年問題担当相、環境相、党幹事長にまで登り詰めた。


■2000年に幸運にもCDUの党首に
「コールのお嬢さん」と呼ばれたメルケル氏にとってきわめて重要な政治的チャンスは、皮肉にも師であるコール元首相の献金スキャンダルだった。

汚職に手を染めたコールを自ら追い出したメルケル氏は、2000年にCDUの党首に選ばれる。2005年の総選挙後、初の女性首相となり、以来10年間に渡り首相を務め、今や欧州の顔となった。

 海外メディアは総じて、政治家メルケルのこれまでの業績を高く評価している。ロイターは、世界経済危機、ユーロ圏の混乱、そしてプーチン大統領との関係まで、様々な難題を解決に導いたメルケル首相は、事あるごとに強くなり、その人気も高まっていったと述べる