>>1  続き

■「しんどいからプールの売店に来ている」

取材を進めると、プールの売店は職員の妻の会社が経営していることがわかりました。この会社が県と委託契約を結び営業しているのです。さらに、この職員が病気休暇を取得していたのは7月20日から8月31日までで、これは県営プールの営業期間とほぼ重なっています。

職員は本当に病気を患っているのか?そしてこれは禁止されている「兼業」ではないのか?取材班が本人を直撃しました。

Q.○○さんでよろしいでしょうか?
「はい、そうです」
Q.奈良市の職員されていますよね?
「そうです。何?またあれかな?めっちゃしんどいねんけど、
しんどいから来てんねんけど、ここへ」
Q.病休中ですよね?
「そうです、だからしんどいからここ来てますねん。まあ説明するけど」

しんどいからプールの売店に来ている?一体どういうことなのでしょうか?

職員の説明によると、妻がある人物からの嫌がらせで心身に不調をきたし、その心配から、職員自身も現在鬱(うつ)状態と診断されたと言います。取材中、売店にいたその妻も取材に応じました。

「私がもし倒れたらどうしようという不安で、(職員が)ちょっと鬱になりかけてる、なってるような状態なんでね」(妻)
「診断書をもらって、8月いっぱいまで(病休を)もらってます」(職員)

職員は診断を受けた後も売店を営む妻のことを心配するあまり、仕方なくプールに来ているのだといいます。

「(妻に)何かあってからじゃ遅いですやんか?」(職員)
Q.ここでは妻を見守っている?
「そうです、声はね、そりゃ当たり前ですよ、出すのは」(妻)
「冒頭でも言いましたけど、体は悪いことないんです。市の職員をしながら仕事(副業)してるんですかっていう話?だから事情を(市に)伝えたんです。いつやったかな?」(職員)

■職員「兼業ではなく指導」

しかし、取材班は職員が客からの注文を取ったりフランクフルトを提供したりする姿を目撃しています。これは地方公務員法で禁止されている「兼業」にあたるのではないのでしょうか?

Q.兼業では決してない?
「ないです、ないです」
Q.ドリンクを出したり焼きそばを作ったり、勘定したりとかは一切ない?
「教えることはありますよ。味が悪くなって、売れ行きが悪くなったら(困るから)」(妻)

すると、職員の妻が若い店員を呼び出してきました。

「あのな、『○○さんが仕事してる』って言うねんやん」(妻)
「してないです」(若い店員)
Q.してない?
「みんなバイトがしてるんで」(若い店員)
Q.繰り返しますが(店の業務)していますよね?
「してないです。教えるのは教えてます」(職員)
Q.あれはあくまで?
「教える。指導ですよね」(職員)
Q.店頭で声を出すのも指導?
「当たり前です。『いらっしゃいませ』は、言ってもらわないと」(妻)

職員はアルバイトを「指導」していただけと話しますが、仮に「指導」だとしても企業の活動に従事することを禁じた市の服務規程に抵触するおそれがあります。

>>3 以降に続く
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