東京大学が、データのねつ造などの研究不正があったと公表した国内有数の分子生物学の教授の論文について、国際的な科学雑誌サイエンスは、この教授の論文を取り下げる措置をとったことを明らかにしました。

東京大学は、先月分子細胞生物学研究所の渡邊嘉典教授らが、おととしまでの8年間に発表した論文5本について、画像などにねつ造と改ざんの研究不正があったとする調査結果を公表し、渡邊教授は、この論文について発表した雑誌社と取り扱いを検討してきました。

その結果、2015年に国際的な科学雑誌サイエンスに発表された細胞分裂の異常とがんとの関連などを調べた論文について、渡邊教授は雑誌社に多数の間違いが見つかったとして撤回を申し入れ、雑誌社は取り下げる措置をとったことを明らかにしました。

5本の論文のうち取り下げられるのは初めてで、渡邊教授などによりますと、残る4本の論文のうち2本については、雑誌社とデータを訂正することで合意し、ほかの2本については対応を検討中だとしています。渡邊教授は「科学論文に対する信頼性を維持するためにも論文を作成し直して、出し直すのが適切であると判断しました」などとコメントしています。

配信9月6日 19時13分
NHK NEWS WEB
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