やまだの花火大会
鎮魂の光、闇に浮かぶ養殖いかだ 岩手
毎日新聞:2017年9月7日 12時18分
http://mainichi.jp/articles/20170907/k00/00e/040/256000c

https://cdn.mainichi.jp/vol1/2017/09/07/20170907k0000e040257000p/9.jpg港町の明かりを取り戻した山田湾に打ち上げられた花火が、洋上に並ぶカキ養殖のいかだを照らし出した=岩手県山田町で2017年8月14日、小出洋平撮影


 夜のとばりが下りた岩手県山田町の港に8月、歓声と共に花火約5000発が打ち上がる。
暗闇に溶け込んだ水面が赤く色付き、湾内を埋めるように並ぶカキの養殖いかだが浮かび上がった。


 2007年夏に始まった「やまだの花火大会」は、東日本大震災で被災した11年にも中断することなく、今年で11回目を迎えた。

 津波やその後の火災で大きな被害を受けた町には、山田湾を縁取るように瞬く街明かりが戻りつつある。
市街地にスーパーや復興住宅ができ、漁港のそばで海と町を隔てるように高さ約10メートルの防潮堤工事が続く。

 主催する商工会青年部の中村尚司さん(40)は「復興する町を更に盛り上げ、犠牲になった人たちを追悼したい」。
町をにぎやかに景気付けてきた花火大会は、震災を境に「鎮魂」の思いも込めた夏の行事になった。