太陽の表面で起きた大規模な爆発現象「太陽フレア」の影響について、情報通信研究機構(NICT)は8日、地磁気の大きな乱れが観測されたと発表した。南極の昭和基地では、活発に動くオーロラが観測された。通信機器などへの影響は確認されていないという。

 NICTによると、太陽フレアの発生は、6日午後9時ごろ。爆発規模は通常の約1千倍で、太陽から放出されたガスが地球に到達するのは8日午後3時以降と予測されていた。実際には午前9時から午後2時ごろまで、地球の上空にある電離層で大きな乱れが観測されたという。この影響で、南極の昭和基地に設置したNICTのカメラでは日本時間の午前8時ごろ、普段より活発なオーロラが観測された。

 今回の爆発規模は5段階の最大級で、1975年以降で27番目だった。NICTの石井守・宇宙環境研究室長は「地磁気の乱れは収束しつつある。全地球測位システム(GPS)や航空機通信などに使う短波通信への大きな影響は今のところ確認されていない」と話した。ただ、太陽フレアは断続的に起こっており、今後2、3日は注意が必要という。

 現在、太陽フレアの影響を受けにくい電子機器の研究開発は進んでいるが、高額で普及が進んでいない。石井室長は「地球への影響予測をより高精度にするなどこれからも研究を続ける必要がある」と話している。(杉本崇)

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 〈太陽フレア〉 太陽表面の爆発現象で、小規模なものは1日に3回ほど生じる。おもに太陽の黒点付近で磁力の乱れが起き、エネルギーと共に表面のガスが宇宙空間に放出される。地球周辺に到達して地磁気にぶつかると、磁気が乱れて電子機器の障害やオーロラなどの現象につながる。

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