高齢者に支払う年金を抑え、逆に保険料を納める“支え手”にする──それが「75歳年金支給開始計画」の狙いである。
まさに国の一方的な都合を押しつける改悪としか言いようがないが、何とさらに踏み込んで「年金返上」を求める議論まで始まった。
発案者は自民党筆頭副幹事長・小泉進次郎氏である。

〈年金を必要としない富裕層に年金返上を求め、子育て財源に充てる制度を考えている〉
進次郎氏の“爆弾発言”は、新浪剛史・サントリーHD社長との紙上対談(朝日新聞8月25日付朝刊)で飛び出した。
現在の社会保障制度は高齢者に手厚い一方で子育て支援は薄く、「世代間格差」が広がっているというのが進次郎氏の持論で、社会保険料を増額して児童手当を増やす「こども保険」創設を提唱してきた。

年金受給は国民の権利だ。
資産の多少にかかわらず、原則、支払った保険料と期間に応じた金額を受け取る権利を法律で保障されている。
仮に、生活に余裕がある人が自分の年金を子育て支援に充ててほしいと思えば、いったん年金を受け取ってから国に寄附すればいい。
これなら国民の年金受給権は守られる。

進次郎氏の主張がきな臭いのは、「返上者には厚生労働大臣表彰や叙勲などをすることも考えられる」と「叙勲」まで持ち出して年金受給権の“自主放棄”を言い出したことだ。
経済ジャーナリストの荻原博子氏が憤る。

「高齢者が喜ぶ勲章をエサにして、年金は返上するのが立派だという雰囲気を作ろうとしている。
そうすれば、反対に年金をもらっている人が後ろめたくなってしまう。それはおかしいでしょう。
それに年金返上するくらいで勲章がもらえるなんて叙勲の安売り。勲章も年金もどっちの制度も崩壊してしまいますよ」

本誌・週刊ポストは進次郎氏のこども保険制度提唱の背後に「財源が欲しい財務省や厚労省の振り付け」があることを報じた(4月21日号)が、今回の年金返上論の裏にも、役所の狙いが透けて見える。
進次郎氏の父、小泉純一郎・元首相のブレーンを務めた元財務官僚で保険数理の専門家、高橋洋一・嘉悦大学教授が指摘する。

「社会保障の財源が足りないから消費税収入を充てるという保険の原理崩しをやってきたのが、財務省と厚労省。
進次郎氏がこども保険財源が足りないから返上分を充てるというのはそれと同じ暴論です」

そもそも、働いていて収入があるために年金を減額されている(強制的に返上させられている)「在職老齢年金」の受給者はすでに多数存在している。
年金返上を求める前にまずはその実態を示すべきだろう。

ところが、厚労省年金局では、「在職老齢年金の適用者(減額者)の人数、減額総額とも年金局としては統計を取っておりません。また、今後、調査する予定もありません」(事業管理課調査室)と、「自動返上」の実態をひた隠している。
コッソリ巻き上げを続けてきたうえに“自主返上システム”を作ろうとは、やり方が姑息すぎないか。

写真:「年金返上案」を唱える小泉進次郎氏
http://i.imgur.com/n7e9GGZ.jpg

http://www.news-postseven.com/archives/20170905_609583.html

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