さい帯血 契約切れの2100人分廃棄せず
9月12日 11時31分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170912/k10011136201000.html

赤ちゃんのへその緒などに含まれる「さい帯血」の違法投与事件を受けて、厚生労働省がさい帯血を扱う民間バンクの実態調査を行った結果、全国で5つのバンクが4万3000人分を保管し、このうち2100人分は依頼者との契約が切れたあとも廃棄していなかったことがわかりました。厚生労働省は契約が切れたさい帯血は第三者に提供されるおそれがあるとして、管理状況を詳しく把握していくことにしています。




さい帯血をめぐっては、東京のクリニックの院長ら6人が国に届け出ないまま患者に投与していたとして、先月、再生医療安全性確保法違反の疑いで警察に逮捕されました。

この事件では、8年前に経営破綻した茨城県の民間バンクからさい帯血が流出し、第三者に投与されていたとみられることから、厚生労働省は全国の民間バンクを対象に実態調査を行いました。

その結果、5つの民間バンクが、合わせて4万3700人分のさい帯血を保管し、このうち2100人分は依頼者との保管契約が終了したあとも、廃棄していなかったことがわかりました。

民間のさい帯血バンクはいずれも本人や親族に投与する目的で保管していますが、厚生労働省は契約切れのさい帯血を保管し続けると、今回の事件のように第三者に提供されるおそれがあるとして、依頼者の意向を確認したうえで必要のないものは廃棄するよう求めることにしています。

さらに、事業の透明性をはかるため保管するさい帯血の利用目的や提供先、それに品質管理の方法などを報告させ、厚生労働省のホームページで公開することにしています。


「信頼回復に努めていきたい」

加藤厚生労働大臣は、閣議のあとの記者会見で、「実態調査の結果を踏まえ、さい帯血が再生医療に用いられる場合には、提供先や品質管理の方法などを確実に確認するだけでなく、契約者の意に沿わない提供が行われないよう、対応可能な措置を速やかに講じ、再生医療への信頼回復に努めていきたい」と述べました。