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Daniel R. DePetris

[14日 ロイター] - ドナルド・トランプ氏は、北朝鮮問題で解決策を見いだすのに失敗した歴代米最高司令官の長いリストに、新たに名を連ねる大統領となった。

1960年代と70年代、米国の対北朝鮮政策の主な目的は、北朝鮮建国の父である金日成主席に、北緯38度線の南に再び軍を展開させないことだった。だがこの四半世紀においては、金王朝の非核化という、一段と困難な仕事に主眼が置かれている。

北朝鮮が7月に実施した2度の大陸間弾道ミサイル発射実験、日本上空を通過した8月の中距離弾道ミサイル「火星12」の発射実験、そして、同国が水素爆弾と主張する9月3日の核実験は、米国と韓国、日本に、強硬な集団的措置を講じる必要性をより切迫感を持って認識させる結果となった。

米国の外交政策専門家たちは多くの選択肢を挙げているが、答えは簡単には見つからない。先制軍事攻撃は、その壊滅的な代償を考えると、現実的ではない。戦闘が開始された場合、韓国の首都ソウルでは初日に推定2万人が犠牲になると、ロブ・ギブンス米空軍退役准将は推測している。

国連安全保障理事会が11日に全会一致で北朝鮮に対する追加制裁決議を採択したが、経済制裁の効果は限定的だ。北朝鮮は制裁回避に長けており、自国の兵器プログラムの資金調達に、新しい効果的な方法を常に編み出してくる。

とはいえ、米国が冷戦時代の成功だけでなく、これまでの失敗から得られた教訓を踏まえ、成果への期待を抑えつつ新たなアプローチを取れば、うまくいく可能性もある。

北朝鮮は、核保有国として認められることをずっと望んできた。その要求は、のんでしまえば最も人気のある米国大統領にとってさえ、政治的地雷原となる。しかし、米国が正式に認めようが認めまいが、北朝鮮は核保有国である。

米国が北朝鮮政策を改善する唯一の方法は、北朝鮮が今後長きにわたり核能力を保有し続け、米国が何を差し出そうと核開発プログラムを放棄することはありそうにないと認めることだ。これは、北朝鮮の最高指導者、金正恩・朝鮮労働党委員長が、何を望んでいるかという問題ではない。むしろ、何が米国の国家安全保障にとって有益かの問題だ。

核保有国として北朝鮮を公式に認めることが、アジアの国々を震撼(しんかん)させようと、トランプ大統領はとにかくそうすべきである。そうすれば米国は直ちに、ますます想起しづらくなっている非核化という目標を離れ、抑止と封じ込めという昔ながらの戦略に再び焦点を絞ることが可能となる。

「危害を与えたがっている敵を封じ込め、弱体化させる方法をわれわれは知っている」と、米シンクタンク「センター・フォー・ナショナル・インタレスト」のハリー・カジアニス氏は筆者に語った。「歴史書をひもといて、何が有効かを読み返し、21世紀にそれを適用すればいい」

米国にとって、抑止と封じ込めとは、北朝鮮の隣国を脅かす能力を最小限にとどめるという共通の目的の下、地域内外の多様な国々で構成される反北朝鮮同盟を構築することを意味する。「スターリンや毛沢東のような人物を抑止できたのなら、同じことが金氏にも可能だ」と、元米国務省当局者のリチャード・ソコルスキー氏は筆者に電子メールでこう語っている。
>>2以降に続きあり)

*筆者は米ディフェンス・プライオリティーズのフェロー。

2017年9月14日 / 09:27 / 17時間前更新