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政治的リスクを伴う決断だが、効果的な抑止には、冷戦時に米国がソ連や中国との間でホットラインを築いたように、トランプ大統領は北朝鮮と信頼できる連絡経路を構築する必要があるだろう。必ず生じるであろう誤解を解いたり、米国が許容できることを一元化して伝えたりするためだ。

北朝鮮指導部へのシグナルは可能な限り明確であるべきだ。つまりそれは、米国は北朝鮮との軍事衝突は望んでいないが、米国またはその同盟国の利益に危険な影響を及ぼすいかなる挑発に対しても、米軍は対応を取る、ということだ。正恩氏が周辺国を攻撃しない限り、米国と北朝鮮は共存できるということを伝えるのがその狙いだ。同氏が自己防衛に執着していることを考えれば(自滅するつもりであることを示す証拠はこれまで見当たらない)、このようなお膳立ては、若き独裁者が検討するには十分に実利的である。

北朝鮮はまた、イランやシリアといった国々に対し、核設計やミサイル技術、そして恐らくは化学兵器開発においても輸出や協力を行っているとして非難されている。したがって、国連安保理は、そうした行動を継続すれば、北朝鮮の貿易に対して一段と強硬で包括的なボイコットを実施する根拠となるというメッセージを送るべきだ。

中国は、北朝鮮に対する石油の全面禁輸や崩壊をもたらすほど経済を締め付けることには抵抗し続けているが、米国は、中国が同意できるかもしれない分野で協力を求めてもいいだろう。例えば、核・ミサイル開発に転用可能な技術が北朝鮮に拡散するのを防止することなどだ。このようなものの流れをせき止めれば、大量殺りく兵器を拡散する他の国家へとそれが渡る事態を最小限に抑えられるだろう。この目的は、中国も共有しているとみられる。

米国はまた、韓国と日本に対し、関係を強化するよう促す必要がある。歴史的なライバル関係が、東アジアが共通の目的意識を持つために不可欠な情報共有の妨げとなってはならない。トランプ政権は今後、同盟関係の構築のために、従来をはるかに上回る外交努力を割く必要がある。

自由貿易協定の破棄を公言するのは、反北朝鮮同盟の基盤となるパートナーシップを揺るがすだけだ。米国は、韓国により重い自国防衛の責任を持たせることが可能であるし、またそうすべきだ。核開発が敵国のあいだに分断をもたらしていると北朝鮮が受け取る理由を与えずに、それを実行することは可能だ。

米国の政策責任者にとって、コンフリクト・マネジメントは最も理想的なシナリオではないが、われわれに残された唯一の賢明な選択肢であるのかもしれない。

終わり