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 衆院の解散が強まったことで、次の衆院選から小選挙区数が1減となる岩手などの各県や、10月22日投開票で補選が予定されている各県の政党地方組織からは、さまざまな声が上がった。

 ◇区数減の岩手、野党は未調整

 衆院選の「1票の格差」を是正する区割り改定法が7月に施行されたため、6県(青森、岩手、三重、奈良、熊本、鹿児島)で小選挙区数が1減となる。

 区数が4から3に減る岩手県では、自民党が今月、現職4人の中から3人の擁立候補を決めたばかり。候補者調整で野党に先んじた形だが、自民党県連幹部は「党利党略的な解散と見なされればマイナスに作用する」と気を引き締める。

 野党は旧3区の民進現職、黄川田徹氏と、旧4区の自由党共同代表、小沢一郎氏との間の候補者調整が決着していない。民進党県連の高橋元代表代行は「時間が無くても、決める時に決めなければ自民党を利することになる」と懸念する。

 同じく4から3に減る奈良県では、いまだに自民党の立候補予定者が決まっていない。3選挙区とも区割りが変わるが、現職3、元職1の4人の調整がついていないからだ。県連幹事長の奥山博康県議は「早々の衆院解散、総選挙はうそであってほしいというのが本音。でも決まったならば、覚悟してやるしかない」と話した。

 5から4に減る三重県。自民党県連の中森博文幹事長は「複数の国会議員から冒頭解散の可能性を伝えられていた」と冷静だ。離党者が相次ぐ民進党も県連代表の芝博一参院議員が16日の記者会見で「自民にとっては好機ではないか」と解散が近い可能性を示唆していた。候補予定者陣営の幹部は「新しい選挙区で与党側も態勢が整わない。(解散は)早ければ早いほどいいと思っていた」と選挙事務所や印刷物の手配を急ぐ考えだ。【佐藤慶、新宮達、田中功一】

 ◇青森・補選中止か「これが衆院」

 区数が4から3になる青森県は、旧4区選出の木村太郎衆院議員の死去に伴い、改定前の旧4区での補選が予定されている。しかし、10月10日の告示後でも解散した時点で補選は中止となる。

 4議席を独占してきた自民党は、新たな区割りでも4人を国会に送るため、1人を比例代表に回す形で候補者調整を進めていた。しかし、同党県連は補選にあたって候補者調整の作業を先送りし、木村氏の弟で元県職員の木村次郎氏(49)を公認候補として当選させることに「全力を注ぐ」としていた。最終的に誰が比例代表に回るか決まっていないが、自民党県連幹部の一人は「突然、解散風が強まったが、これが衆院だ」と話した。

 区数は減らないものの、補選が予定されている新潟県の自民党関係者は「他県に比べて総選挙に向けた態勢は整っている」と述べた。これに対し、民進党などと補選での統一候補擁立を模索している社民党県連の小山芳元代表は「(解散が)どう転んでも野党が連携することに変わりはない。候補者選びを加速させる」と述べた。

 また、13都道府県で区割りが変わる。東京21区は昭島市が外れた代わりに国立市が加わったほか、八王子、多摩、稲城の3市の一部が編入され、入り組んだ選挙区になる。当選2回の自民党現職、小田原潔氏(53)は「新しく編入される自治体では知名度がないに等しい。短期の選挙戦になれば、暗闇でバットを振るような、手探りの選挙になる」と困惑気味に話した。

 同じ21区から立候補予定の現職、長島昭久氏(55)は民進党を離党して初めて挑む選挙になる。「今夏は盆踊りやイベントに積極的に顔を出してきた」と語るが、「学校で抜き打ちテストをさせられる感じだ」と危機感をにじませた。【佐藤裕太、柳沢亮、黒川将光】