観覧車の扉閉め忘れ、再発防止へ「指さし」確認
読売新聞:2017年09月18日 20時45分
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指さし、声だしの確認をする係員(3日、鹿児島市のアミュプラザ鹿児島で)


 鹿児島市の商業施設「アミュプラザ鹿児島」の観覧車で係員が客を乗せたゴンドラの扉を閉め忘れたトラブルから間もなく1か月。

 運営会社は再発防止に向け、新たなマニュアルに沿って乗客案内を行っている。同様のトラブルはこれまでも各地で起きており、専門家は「ミスが起きないシステムづくりが重要」と指摘する。

 ■声だし確認を徹底 

 「ロック良し」。観覧車の乗降場所で乗客をゴンドラに案内する声が響く。
運転室のドアには「ドア扱いは1人作業」「『指さし』『声だし』確認」などの注意書きが貼られていた。

 運営する鹿児島ターミナルビルはトラブルを受け、係員1人が乗客の案内と扉のロックの両方を行うようにしたほか、指さし確認と声だし確認を徹底するようマニュアルを修正した。

 霧島市の専門学校生(19)は「係員が扉をきちんと確認をしていたので、安心して乗れました」と笑顔を見せた。

 ■休憩入り直後の出来事

 8月21日に起きた今回のトラブルでは、乗客の案内と扉のロックを分担したことがミスを招いていた。

 同社によると、当時、乗降場所には3人の係員がいた。うち1人は休憩に入るため、乗客をゴンドラに案内した直後、もう1人に「お願いします」と声をかけて持ち場を離れた。

 だが、声をかけられた係員は「聞こえなかった」と説明。ゴンドラは扉が閉められないまま上昇した。近くにいた交代要員のもう1人も、扉が閉まっていないことに気付かなかった。

 ■システムづくりが重要

 観覧車を巡るトラブルは各地で相次いでいる。昨年3月には、名古屋市の東山動植物園で、中学生らが乗ったゴンドラの扉が開いたまま1周した。

 これを受け、運営団体は係員に指導を行ったほか、観覧車に特殊なセンサーを取り付け、乗降場所以外で扉や鍵が開くと自動停止するシステムを導入した。

 人的ミスのメカニズムに詳しい日本ヒューマンファクター研究所の塚原利夫・取締役副所長は、こうした「ハード面での備え」の必要性を指摘。
「ヒューマンエラーをゼロにするのは不可能。係員の教育などの対策だけでなく、エラーが起きることを前提にした対応が必要」と指摘している。