男性の職場だと思われがちだった産業廃棄物処理業界で女性が活躍し始めている

 環境に配慮した持続可能な社会の必要性が注目される中、産廃をリサイクルする仕事にやりがいを感じているようだ。体力を使う工場ではなく、試験室での成分分析などに従事する人が多い。最近は業界誌に取り上げられ、「産廃女子」という言葉も知られるようになった。

 「産廃は臭いが強烈で最初は驚いたが、砂利として再び使える再生砕石に生まれ変わるのを見るのが、うれしい。リサイクルの一部を担っているという意識が生まれた」。阿久津麻美さん(39)は今年2月、中間処理を担う渡辺産業(栃木県日光市町谷)に入社した。別の会社で営業職をしていたが、「手に職をつけたい」と転職した。

 持ち込まれる汚泥や廃材などに、どんな有害物質が含まれているかを調べる作業が必要だ。阿久津さんは試験室で成分分析を担当している。同社の駒場弘巳・総務部長は「女性社員は以前は全くいなかったが、ここ2、3年、求人に応募してくるようになった」と話す。「丁寧な計測、正確性を求められる成分分析は、細かい心配りのできる女性に向いているのでは」と期待する。

 プラントメーカー「アクトリー」(本社・石川県白山市)が壬生町壬生乙に持つ焼却施設で働く尾島雅さん(43)は今年3月に入社した。持ち込まれた産廃が受け入れ可能かどうかの判断や、燃えがらの成分分析を担当している。「目立たないが、重要な仕事」と話す。もとはキノコ類の研究所で働いていたが、転職を考えていた時に、たまたま、ゴミの分析という仕事を知ったという。

 県産業資源循環協会の野沢勝徳常務理事によると、この業界で働く女性の数についての統計はないが、近年、増えてきているのを実感するという。「女性が活躍することで、ほかの女性にもより身近に感じてほしい」と話している。

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