米税制改革のポイント
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 【ワシントン=河浪武史】トランプ米大統領は27日、連邦法人税率を35%から20%に下げる税制改革案を正式に発表した。中西部インディアナ州で演説して「歴史的な減税で、米国に企業と雇用を取り戻す」と主張。賃上げなどで中間所得層に恩恵が及ぶとした。ただ、野党・民主党は個人所得税の最高税率引き下げなどを「富裕層優遇だ」と批判しており、議会審議は難航も予想される。

 トランプ氏は同日の演説で、米国の法人税率を主要工業国の平均よりも低い水準に下げると述べて「革命的な変化だ」と力説した。企業の税負担を軽くして国内の設備投資や雇用拡大を促し「何年もみなかった賃上げがやってくる」と述べ、大型減税の成長底上げ効果を強調した。

 個人所得税は最高税率を39.6%から35%に下げ、税区分も7段階から3段階に簡素化する。子育て世帯の税控除を拡大するなどして「中間層に最大の恩恵が及ぶ」と強調した。遺産税(相続税)の撤廃も表明し、税制改革は高所得層にも減税効果が及ぶことが鮮明になった。

 そのため、野党・共和党は「共和党案は個人所得税の最高税率の引き下げなどを盛り込んでおり、富裕層への大盤振る舞いだ」(ペロシ下院院内総務)と早くも批判を強める。上下両院は共和党が多数を占めるが、とりわけ上院は議席数が拮抗しており、税制改革の実現には民主党の協力が必要になる可能性もある。
 
 与党・共和党はライアン下院議長も首都ワシントンで演説し「我々の目標は、新年を新しい税制で迎えることだ」と主張。年内の税制改革実現に強い意欲をみせた。財政保守派で議会運営のカギを握る「下院フリーダム・コーカス(自由議連)」も、今回の税制改革案を支持すると表明した。

配信2017/9/28 5:48
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGN28H04_Y7A920C1000000/