昨年7月の自転車事故で頸髄(けいずい)を損傷し、療養中の自民党前幹事長の谷垣禎一氏(72)が次期衆院選には立候補せずに引退することを表明し、自民党京都府連が京都5区の後継候補を急遽(きゅうきょ)公募で決定した。12期連続当選の“超大物”の突然の不出馬に、地元はいまだに動揺がおさまらないが、公示までの時間はわずか。“地盤のバトン”は、引き継がれるのか。

「顔を知らない人が8割じゃないか。私もどんな人かは知らない」。京都府北部のある自治体関係者は冷ややかだった。

 公募で谷垣氏の後継に選ばれた新人の本田太郎氏(43)は、宮津市・与謝郡選出の地元府議の一人だが、府議1期目だったこともあってか知名度はいまひとつだ。京都府向日市出身。東京大院を出て証券会社に就職後、早稲田大院法務研究科を経て弁護士に。知人の府議の引退に伴い、平成27年の府議選で立候補し、初当選した。

 一方、引退した谷垣氏は昭和58年から連続12期当選。強固な保守地盤に支えられ、選挙でも圧倒的な強さを見せつけてきた。

 関係者によると、京都府福知山市にある谷垣氏の事務所には支援者たちからの“やめないでコール”がいまだに続いているという。同市の無職女性(72)は谷垣氏について「地元の誇り。由良川の治水など地元に貢献してくれ、国政でも活躍してくれただけに残念」と話していた。

 地元では“谷垣ロス”のムードも漂う中、地盤の引き継ぎを危ぶむ声が根強い。京都5区は、府北部全体に広がる大きな選挙区。「新人候補が地域に浸透するまでには時間がかかるのではないか」というのだ。本田氏も「勉強会を開いたりして、地元に入って(自分を)知ってもらうしかない」と話す。

 30日午後にはさっそく、安倍晋三首相が京都5区の舞鶴市に入り、国政報告会で本田氏とともに演説を行う予定だ。地元の党関係者は「急遽、首相の舞鶴入りの連絡があった。後継へのてこ入れではないか」と話していた。

 京都5区では共産党の山内健氏(49)が3度目の国政挑戦に向けて準備を進めているほか、前回の参院選で東京選挙区から立候補した自由党の鈴木麻理子氏(32)が立候補を表明している。また、防衛省の前防衛局長、井上一徳氏(55)が希望の党からの立候補を目指している。

2017.9.30 13:14
産経ニュース
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