http://jp.reuters.com/article/usa-trump-breakingviews-idJPKCN1C90M5

Rob Cox

[ニューヨーク 14日 ロイター BREAKINGVIEWS」 - 優雅なメッセージの発信は、もとより全米ライフル協会(NRA)の得意とするところではない。それにしても、ここ数カ月、この米銃器産業の「最大の広告塔」から聞こえてきたのは、これまでになく耳ざわりな叫びだ。

30年ぶりに大統領としてNRAの年次総会で演説を行ったトランプ氏による前例のない後押しがあるにもかかわらずだ。

米軍最高指揮官のトランプ大統領は4月、アトランタでNRA幹部や同会員に向かい、「皆さんは私の力になってくれた。私も皆さんの力になろう」と語った。「米国憲法修正第2条に定める、(国民による武装の)自由に対する8年に渡る攻撃は、完全な終焉を迎えた」

だが、他にも米大統領選でのトランプ勝利とともに終わったものがある。それは、銃器セクターにとっての強気相場だ。同セクターの抱える苦痛は明らかで、9月半ばまでに各メーカーの業績下方修正や、アウトドア用品専門の小売企業にも株価下落や倒産が見られた。

トランプ氏はここ数十年で最もNRA寄りの大統領だ。しかし、まさにその点が問題なのだ。

銃器関連の販売は、2008年に民主党のバラク・オバマ氏が、史上初めてのアフリカ系米国人大統領として選出されて以来絶好調だったが、トランプ大統領の登場を機に急ブレーキがかかった。

銃器メーカーのスターム・ルガ(RGR.N)のキロイ最高経営責任者(CEO)は、最新の四半期で利払い・税・償却前利益(EBITDA)が44%低下したことについて、次のように説明した。

「われわれはとにかく、顧客に対して、射撃場に戻り、多少なりとも弾薬を使い、射撃というスポーツを楽しみ、また銃砲店に戻るよう促すべきだ。将来的に禁止されるかもしれないと考えるからではなく、娯楽のために、さらに何丁か買ってもらえるようにしなければならない」

言い換えれば、銃器購入者は、もはや政府のやっかいな銃砲規制主義者を恐れる必要はない。しかし、そのことがまさに銃器販売に打撃を与えているのだ。米連邦捜査局(FBI)によれば、2017年1─8月に行われた銃器購入に伴う身元調査数は、前年同期に比べ160万件も減少しているという。

それでも、今年これまでに販売された銃器数は2010年通年の総数をすでに上回っている。8月にバージニア州シャーロッツビルで行われたネオナチ集会とそれに伴う暴力事件が、少なくとも一時的には追い風になったのかもしれない。8月の身元調査件数は前年同月よりも4%多かった。だがそれでも、米国の一般消費者向け銃器産業にとっては悲惨な状況が続いている。
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2017年10月4日 / 09:22 / 7時間前更新