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九州北部豪雨から3か月となり、被災地では山あいに取り残されていた集落につながる道が相次いで開通するなど復旧が進んでいますが、ふるさとを離れ別の場所への移転を考え始める集落も出ています。

福岡県朝倉市の山あいにある黒川地区の疣目集落は、九州北部豪雨から3か月がたちようやく車で行き来できるようになりましたが、土砂とがれきが高く積み上がり、谷には流木や大きな石がそのままになっています。
集落には14世帯が暮らしていましたが、全員が仮設住宅などに避難し集落を離れたままです。

先月末に取材した時には、梨農家の手嶋貢さん(84)が出荷のため避難先から自宅に戻っていました。栽培している梨の木は被害を免れましたが、2か月以上集落に戻れず手入れができない間に実が傷んでしまいました。手嶋さんは夫婦でおよそ50年梨をつくり続けてきましたが、集落を離れざるをえないと考え始めています。
手嶋さんは「80歳を超え、もともとことしで梨づくりをやめようかと話していたが、豪雨の被害で来年は栽培が難しくなり気合いが抜けてしまいました。集落に住み続けたいが難しいと思う」と話していました。

また、区長の手島清定さん(69)も、ふるさとの姿が大きく変わり、二次災害も懸念されるなか、集落のみんなで別の場所に移転できないか検討を始めていると言います。
手島さんは「復興しようにも手がつけられない状態で、もう集落に住むことができないのではないかと思います。移転して集合住宅に住むのであれば、なるべく同じ集落の住民で住むことができるよう市に要望しています」と話していました。

九州北部豪雨の甚大な被害は、地域の人たちがこれまで築きあげてきた営みをも奪おうとしています。

10月5日 12時27分

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