政府は6日、過労死等防止対策推進法に基づく「過労死等防止対策白書」を閣議決定した。過去5年の過労自殺の事例を年代別にみると、自殺者数は男性は40代、女性は10〜20代が最も多いとする分析などを盛り込んだ。電通の違法残業事件や、それを受けた政府の緊急対策も紹介した。

 白書では、2010年1月〜15年3月に精神疾患で労災認定され、補償金の支給が決定された事案を分析。計368人(男性352人、女性16人)が過労自殺していた。

 年代別に分析したところ、従業員100万人当たりの自殺者数は男性は40代が3人で最も多く、次は50代の2.8人。女性は10〜20代が0.4人、30代が0.2人の順だった。長時間労働や職場でのいじめ、嫌がらせなどが原因としている。

 過労自殺が多い男性について業種別にみると、従業員100万人当たりの自殺者数は法律事務所や経営コンサルタントといった「学術研究、専門・技術サービス業」が4.7人で最も多く、「情報通信業」の3.9人が続いた。

 厚生労働省は昨年12月、違法残業で是正勧告を受けた企業名の公表対象を広げるなどの緊急対策をまとめた。白書では、その経緯として「大手企業で入社間もない方が、業務量の急増や人間関係に起因して自ら命を絶つ事態が起こった」と電通の新入社員、高橋まつりさん(当時24)の過労自殺に触れた。

 過労自殺が後を絶たないことを受け、全社的に労働環境の改善に取り組むよう企業の本社への特別指導を始めたことも明らかにした。

配信2017/10/6 10:28
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO21969570W7A001C1MM0000/