噂されているほど恐くなかったので、レストランの方にも行くことにしたんです。
で、このとき何を思ったのか、友人がトイレの鏡を外して持って帰ってしまったんです。僕はイヤな感じがしていたのですが、彼は気にしていない様子でした。
しかし、それが原因となって、大変なことが起きてしまったんです。2カ月くらい経った頃、鏡にヒビが入ったんです。
すると、その1週間後に、彼の祖母が亡くなりました。おかしなことは、それだけでは済みませんでした。祖母の葬儀が終わってから2週間ほど経つと、今度は、妹が交通事故に遭ったんです。
友人は、“鏡が不幸を呼んでいる”と察して、慌てて鏡を返しに行きました。考えてみれば、この鏡は自殺者の姿を『目撃』しているワケですよね。それを考えると、何が起きてもおかしくなかったと思います……」

地元の人たちは、暗くなってからこの廃墟に近づくことはなかったという。
自殺者の霊が棲みついていると考えられていたからだ。南阿蘇村在住のYさん(28)も、身の毛もよだつような体験をしている。

「4年くらい前の夏、大学時代の友人を連れて肝試しに行ったんです。
そのとき橋の中央あたりを散策していると、友人の彼女が半狂乱状態に陥りました。
『おかぁさん、おかぁさ〜ん』などと叫びながらフェンスをよじ登り始めたんです。
ふたりで体を押さえたのですが、大変なことになるところでした。あのレストランに棲みついている霊にとりつかれたのでしょうか……」

2016年4月16日に起きた熊本地震の「本震」では、阿蘇市在住の大学生が行方不明となっている。

阿蘇大橋付近を車で通行中、不運にも大規模な土砂崩れに巻き込まれた可能性があるとされ、警察や消防による捜索活動が行われたが発見には至らなかった。
その後、大学生の家族や友人らの手によって独自の捜索が行われ、同年8月に阿蘇大橋の下流で遺体が収容されている。

新設される阿蘇大橋は、元の位置より下流に架けられることが決まっている。
その長さは、345メートルとなる。今年8月27日には、それに先立って阿蘇大橋の迂回路として、阿蘇長陽大橋を含む村道・栃の木〜立野線“長陽大橋ルート”が応急的に開通している。
このルートの復旧によって、立野地区にある立野交差点と南阿蘇村役場の間の所要時間は40分から10分に短縮された。

橋のふもとにあった「まてまて地蔵」は、長年、自殺した人たちを見つめてきた。
しかし、自殺を思いとどまらせるような力は持ち合わせていなかった。阿蘇大橋から飛び降り自殺をした人たちと熊本地震の「本震」で尊い命を落とした大学生に手を合わせたい。合掌。

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