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漁業者等からもこれらの鯨種の漁獲枠の設定について要望が相次いでいる。



2017.05.12
イルカ漁捕獲枠2種追加へ 太地町ではよろこびの声 水産庁が省令改正の方針
http://www.kinan-newspaper.jp/?p=9453
現在日本で9種類の捕獲が認められているイルカ漁業の鯨種が、2種増える見通しであることが11日、水産庁などへの取材でわかった。
同庁では、漁の許可に関する省令の一部改正に対するパブリックコメント(意見公募)を先月15日まで実施。集められた意見をまとめ、今月中をめどに開かれる水産政策審議会での審議を経て、正式に決定する方針を示している。
水産庁によると新たに捕獲枠に認可されるシワハイルカ(皺歯海豚)とカズハゴンドウ(数歯巨頭)は世界中の温暖な海域に棲息している種類で、日本の沖縄から関東までの南方海域でも数多く生息している。
現在イルカ漁業(突きん棒漁・追い込み漁)で捕獲が許可されているのはバンドウイルカやハナゴンドウなど9種類。
いずれも国際捕鯨委員会(IWC)の捕獲規定の対象外となる歯鯨(ハクジラ)に限られており、国が定めた捕獲枠に沿って各自治体が認可を出し、漁が実施されている。
資源量調査などを基に水産庁が発表した日本周辺海域における資源量は、シワハイルカ5483頭、カズハゴンドウ5万8889頭(2014年現在)とされており、これらの数字をもとに算出された許容捕獲頭数はシワハイルカ46頭、カズハゴンドウ704頭となっている。
今回の追加認定について水産庁は「持続的な利用を行うのに十分な資源量があることが確認されており、漁業者等からもこれらの鯨種の漁獲枠の設定について要望が相次いでいる」と理由を説明。
資源管理部国際課の担当者は「パブリックコメントでは、ぜひ追加をという声が大多数だった」とコメント。
「われわれは他の水産物と同じように、漁業者から要望があるものに関して調査の上、認可している。イルカ自体は日本沿岸に回遊しており、量的なめども把握できたので今回の追加認定へと至った」と語る。
追加予定の2種は沖縄県と和歌山県を中心に捕獲枠が振り分けられ、太地町では今期の追い込み漁(9月〜4月末)から捕獲される見通しとなっている。
■「鯨の海構想へプラス」
この決定に対し、全国で唯一イルカの追い込み漁を行う太地町の関係者はよろこびの声を上げている。
漁を行う太地いさな組合幹部は「これまで販売対象となっていない種類だったので、追加により漁がどう変わっていくのかが楽しみ」とコメント。
追加予定の2種は出漁中によく目視しているといい、主にシワハイルカは生体として、カズハゴンドウは食用としての捕獲を想定しているという。
追い込み漁で捕獲される全7種を飼育している太地町立くじらの博物館では、新たな種類の飼育展示に意欲をみせる。
同館の桐畑哲雄副館長は「現在7種類の鯨類を飼っているが、それぞれの特性を生かしたショーを心掛けています。今まで飼えなかったイルカを飼うチャンスを与えてもらえてうれしい」と語る。
また、「世界的にショーで人気がある2種(バンドウイルカ・カマイルカ)で飼育が止まっている傾向がある。イルカという動物のよさを知るという意味では、われわれは他の種類をもっと紹介していきたい」との飼育方針を示し、
「鯨の学術研究都市」を目指す同町の中心施設として、さらに飼育展示の充実を目指していく構えだ。
三軒一高町長は「太地町としても非常に喜んでいる。種類が増えることによって裾野が広がり、町が進める鯨の海構想のプラスにもなる。反捕鯨の批判が厳しい中、科学的な根拠に基づいて枠を拡充していただいた国に感謝している」と話した。