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10月19日 4時58分

ユネスコ=国連教育科学文化機関は、中国が申請した「南京事件」をめぐる資料が「記憶遺産」に登録されたことなどから、日本が求めてきた事業の見直しについて協議しましたが、さらに議論が必要だとして、結論は来年以降に先延ばしとなりました。

ユネスコの「記憶遺産」は世界各地に伝わる重要な資料などを人類の財産として保護する事業ですが、日本と中国の見解が異なる中で、中国が申請した「南京事件」をめぐる資料が登録されたことや、韓国や中国などの市民団体で作るグループが慰安婦問題に関する資料の登録を申請していることなどから、日本政府は事業が政治利用されているとして改善を求めています。

フランスのパリで18日まで開かれていた執行委員会では、これまでに加盟国の意見などを基にした見直し案が示され、登録の審査にあたっては申請された資料に対し、各国が意見を出せることや問題があるとされた申請については関係国が協議を重ねることなどが盛り込まれています。

委員会では見直し案を評価をする意見があったものの、さらに議論が必要だとして、18日、来年春の執行委員会で再び話し合うことを決めました。そのうえで「記憶遺産」の事業は相互理解や対話の原則に基づいて進め、政治的な緊張を避けることで一致しました。

今月24日からは新たな記憶遺産の登録を決めるユネスコの国際諮問委員会が始まる予定で、今回の決定がどのような影響を与えるか注目されます。