>>1 続き

尾川さんは3人姉弟の末っ子で、家計の教育費の負担も重いため、有利子の奨学金を借りている。「将来の自分の借金にそのままつながるということで、家族の中でも続けるかどうか話し合っている。もちろん給付型奨学金の制度が増えれば越したことはない」と言いつつ、「ほとんどの人が高校から大学に行く時代、そんなにたくさんの人の給付型奨学金を国がまかなえるだろうか。現実的なことじゃないのではないか。あまり期待できない」と説明する。

 ただ、消費増税に絶対反対というのではない。「これなら上がってもいいという納得ができれば、消費税が上がる政党でも支持してもいい」といい、まだ投票先は決めかねていると話した。

■東京との格差「地方放っておかないで」

 「前回の参院選は19歳で選挙権はあったが、上京してきたばかりで住民票変更手続きなどの関係で投票できなかった。今回の選挙でやっと行けるのでうれしい」と話すのは法政大学経済学部2年生の堀ノ内愛理沙さん(20)だ。

 一番関心があるのは、彼女も憲法改正だという。きっかけはゼミでの活動だった。「国家緊急権(大規模災害や戦争など国家そのものの存立が脅かされる可能性がある場合に、全体の利益のために個人の権利を抑制できるとする考え方)について、調べたことで、憲法に興味を持った。今は大きな党が三つになって、そのうちの二つが憲法改正に賛成ということで、ついに改正になってしまうのかという思い」と話す。

 憲法改正について自身の考えはまだ定まっていない。「色々調べて、個人的には改憲しても良いとい思う気持ちもある。でも、関心を持っていない人がなんとなく投票して、改憲がしやすくなったり、いつの間にか悪いように改憲されたりしないか不安な気持ちもあり、それなら改憲しない方がいいかもしれないと迷う気持ちがある」。

 また、地方の政策についても関心を持っているという。堀ノ内さんは鹿児島県出身だが、進学のため上京し、就職はできれば東京でしたいと考えているという。「鹿児島では大学も少ないし、大学を出たとしても、それに見合った仕事が少ない。だから、地元では公務員を志望する人がものすごく多い。もっと大学で学んだことを行かせる職場があれば戻るだろうし、東京と地方の格差がありすぎる。地方を放っておかないでほしい」と話し、地方に向き合う姿勢や取り組みも見ていくと話していた。

■情報収集は「友達のリツイートを参考に」

 2人にどうやって投票先を絞り込むのか、参考にしている情報をたずねたところ、

 「SNSで友人がリツイートした内容は参考にする。またインターネットニュースサイトで関心のあるニュースは見て情報収集をしている」と話した。新聞やテレビを参考にすることは、ほとんどないという。ツイッターでは、政治家の発言が「お堅い感じなのか、そうじゃないのか」を見たり、流れてくる情報で世論を見たりするのだという。また、生中継ができるSNSで行われている演説の様子などもチェックしているとした。

 政党の混乱についてはどう思っているのか。

 堀ノ内さんは「国のことを考えてではなく、自分が当選したいがために党を移っている人たちをみると、自分本位に見えてしまう。でも政治ってそんなもんなのかな」と不信を抱いたようだ。尾川さんも「絶対的に信頼できる個人の人が見当たらない。急に立候補した人とか本当に政治ができるのかなって思ってしまう」と話し、候補者そのものの見極めも難しいと感じているようだ。

 投票日まであと1日。若者も真剣に1票を投じようとしている。候補者や政党には、政策や自身の政治信条について、若者らが信頼できるように、分かりやすく丁寧説明する姿勢を求めたい。

おわり